-誠実心がけ信頼築く 地域に必要な会社目指す- 「サンビシモータース」社長 岡田文明さん

【「地域に必要な会社として成長させ、後継者にバトンタッチしたい」と話す岡田さん=桑名市参宮通で】

 桑名市参宮通の「サンビシモータース」は、愛知県生まれの亡き父良さんが昭和27年に創業。戦時中、名古屋市の三菱重工で戦闘機の製作に携わり、戦後、桑名市に移り住んでオートバイの販売と修理の店を始めた。平成9年、体調を崩した父を継いで2代目に就任した。

 時代のニーズに伴って、オートバイと自動車、鈑金塗装事業も手掛けるようになった。本社屋を6階建てに建て替え、整備工場と新車・中古車の展示場も社屋近くに開設した。国産車だけでなく外国車も取り扱い、県外から訪れる顧客も多い。

 桑名市で2人兄弟の次男として生まれ、仕事で忙しい両親の姿を見ながら育った。修徳小時代は、当時大人気だったザ・ドリフターズをまねて友だち5人でコントを練習しては披露し、人を笑わせることが大好きだった。

 光風中と桑名工高の6年間はサッカーに打ち込んだ。良い成績は残せなかったが、人生の師といえるコーチと、共に汗を流して忍耐力を養った仲間との絆は宝物だと振り返る。「今でも仲間が集まると、一瞬で当時の記憶がよみがえります」と話す。

 幼いころから身近にあったバイクや車が好きで、高校卒業後は美濃加茂市の中日本自動車短期大学に進学した。2級整備士の資格を得て、日産プリンス販売会社で車検・整備を3年、その後、損害保険会社で営業と事故後の示談についても経験を積み、25歳でサンビシモータースに入社した。

 病気がちだった父の負担を減らすため2輪と損保を担当し、兄が4輪整備工場を任された。父が亡くなる前年、病弱だった兄に代わって経営を引き継いだ。その兄が交通事故で亡くなった後は、「誠実」をモットーに社員20人と心を合わせて2輪・4輪販売修理、損保など全ての業務を顧客の立場になってこなし、信頼関係を築いている。

 平成23年には、海外2輪メーカーのオフロードバイク、ロードスポーツバイクなどを販売する「KTM東海」を出店。いなべ市のいなべモータースポーツランドの運営も手掛けるようになった。

 長女が嫁いだ後は、母揚子さん(88)と妻幸江さん(64)、次女笑奈さん(28)、愛犬ココと楽しく暮らしている。「母から事務仕事を引き継いで長年支え、思うようにやらせてくれる妻に心からの感謝を伝えたい」と照れながら話す。

 経理を担当している長女真由子さん(32)の夫橋本直也さん(28)は、現在、自動車販売店に勤務しているという。「それぞれの部署を維持しながら、地域に必要な会社として成長させ、後継者にバトンタッチしたい」と語った。

略歴: 昭和32年生まれ。同52年中日本自動車短期大学卒業。同年日産プリンス名古屋入社。同55年同和火災海上四日市支店入社。同57年サンビシモータース入社。平成7年県二輪車普及協会桑名支部長就任。同9年サンビシモータース社長就任。同18年ダイハツショップ認定店。同23年日本モーターサイクル協会中部モトクロス委員、中部エンデューロ委員。