-県内唯一トプコン代理店 常に探求心、積極的な提案- 「トプラス」社長 有竹祐人さん

【「災害に強い街づくりに貢献したい」と話す有竹さん=四日市市貝家町で】

 四日市市の測量機器販売会社で8年間実績を積み32歳で独立、同市松本で「トプラス」を起業し、5年後に同市貝家町に本社を移転した。現在は、光学機器メーカー「トプコン」の県内唯一の代理店として、官公庁や土木建設企業、測量コンサルティング会社、土地家屋調査士事務所などに、用途に応じた多種多様な測量機器の販売・レンタルで業績を伸ばしている。

 県全域でより迅速な対応ができるよう、3年前には南勢営業所を松阪市に開設した。「常に探究心を持ち、積極的な提案営業で顧客の信頼を得る」という基本理念の下、社員16人が心をひとつに励んでいる。

 四日市市で2人きょうだいの長男として生まれ、共働きの両親に代わって祖父母が面倒を見てくれた。幼少時、従姉妹とライターで遊んでいて枯れ草が燃えるぼや騒ぎを起こしたが、幸い近所の人が消し止めて大事に至らなかった。祖父の説教より、大好きだった祖母に初めて頬をたたかれたことにショックを受け、幼心にもう祖母に心配をかけないと誓った。

 小学生時代に見たテレビドラマ「おれは男だ!」の主人公にあこがれて中高6年間は剣道に打ち込み、「礼に始まり礼に終わる」武道の精神を学んだ。高校の担任に推薦枠での大学進学を勧められたが、進学より就職を選択し、「鈴鹿富士ゼロックス」の1期生として入社した。

 交代勤務を経て品質管理の資材業務に移動し、取引先の営業担当者らと接するようになった。同じ製品でもセールスのやり方次第で成績を伸ばせる営業職に興味を持ち、上司に営業課で働きたいと申し出たがかなわず、退職した。その後、親戚の紹介で四日市市の測量機器販売会社に再就職して希望していた営業職に就いた。

 当時、測量機器を取り扱う会社が北勢地区に1社だけだったこともあり、営業成績を大きく伸ばした。仕事にやりがいを感じ、いつかこの業界で独立することを考えるようになった。

 8年後に「トプラス」を起業した直後、四日市に進出してきていた光学機器メーカー「トプコン」から「北勢地区の販売を頼めないか」と打診され、国内約70パーセントのシェアを持つトプコンの販売店になった。

 測定した座標データやくい打ち点への誘導表示をリアルタイムでディスプレーに表示する、他メーカーにない高性能の杭ナビゲーションをはじめ、GPS測量機や3Dスキャナー測量機など画期的な技術を誇る測量機器を数多く販売した。その実績を買われ、5年前に販売店から県内唯一の代理店に昇格した。

 経理担当の妻美由紀さん(50)と9歳の1人娘咲穂さんの3人家族に1年前、咲穂さんが飼いたがったネコのダンが加わった。40歳を過ぎてようやく授かった娘が、ダンを抱いて膝に乗ってくるのがかわいくて仕方ない。そんな様子に妻は「娘がべったりしてくれる時期は短いよ」と笑う。「仕事と家事、育児に頑張ってくれる妻に感謝です」と話す。

 週1回は友人らとゴルフ、春と秋にはバイクツーリングを楽しんでいる。「家族と過ごす時間と仲間との趣味の時間、どちらも仕事への活力になっています」と語る。

 昨年は各建設業協会主催の技術者向け研修会がコロナ禍で中止を余儀なくされた。「1日も早い再開を待って、広く情報提供をしていきたい」と言う。「測量機器販売と地盤調査、土質試験に加え、ドローンやレーザースキャナを活用した測量3次元設計などのICT(情報通信技術)関連機器の普及にも力を注ぎ、災害に強い街づくりに貢献したい」と目を輝かせた。

略歴: 昭和39年生まれ。同57年県立四日市中央高校卒業。同年「鈴鹿富士ゼロックス」入社。同63年四日市市の測量機器販売会社入社。平成9年「トプラス」創業。