-施術で健康寿命延ばす 業界で東海最大級の施設- 「おおえのきトータルヘルスケア・おおえのき接骨院」代表 大榎良則さん

【「地域になくてはならない施設としてトータルヘルスケアを充実させていきたい」と語る大榎さん=鈴鹿市住吉で】

 平成17年、鈴鹿市住吉に「おおえのきトータルヘルスケア・おおえのき接骨院」を開業。時代のニーズに伴い、鍼灸(しんきゅう)や機能訓練に特化したリハビリデイサービス、マンツーマンのトレーニングなど、医療と介護、健康増進の3本柱で健康寿命を延ばすことを目標に掲げ、同21年には接骨業界では東海最大級の施設を建設した。

 平成25年に接骨院に不妊鍼灸、美容エステ、デイサービスを併設した白子分院「グランデ接骨院」、同27年には東京に進出し「おおえのき接骨院品川院」を開院、加えて鈴鹿市稲生にサービス付き高齢者住宅も開設。新たに教育業界にも参入し、昨年、小学生から高校生までを対象にした個別学習塾「スクールI」を津新町に創設した。

 鈴鹿市土師町で3人きょうだいの長男として生まれた。幼少期は粘土細工や絵を描くことが大好きで、小学校のポスターコンクールで金賞に選ばれたこともあり、「将来は漫画家になりたい」と卒業文集に夢をつづっていた。

 高2の時、かわいがってくれた祖父が脳梗塞になり半身まひで歩けない状態になった。医師は8割治らないと診断したが、担当した理学療法士は2割の可能性があると祖父を励まし、半年間のリハビリで、祖父はつえを使わずに歩けるまでに回復した。大好きな祖父に理学療法士が起こしてくれた奇跡に感動、自分も将来そんな仕事をしたいと思った。

 卒業後は、四日市市の富田浜病院に勤務する傍ら、名古屋市の米田柔整専門学校の夜間部に通い、3年で柔道整復師の資格を取得した。同病院のリハビリ科で10年間キャリアを積み、神戸市の脊椎専門治療院で米国認定のカイロドクターの下、知識を深め、技術を磨き、経験を重ね、自信を持って独立を決意した。

 来院者1日3人からのスタートだったが、1人1人にしっかりと向き合う誠実で的確な施術が口コミで広がり、数年で1日に150人ほどが来院するようになり、手狭になったことから隣接する土地に新築移転した。県内外の病院医師らと連携を強化し、患者の情報を共有しながら施術に当たっている。

 手首を骨折した10代男性には、手術なしでギプス固定する保存療法を用い、4週間で完治した。「入院もなく、学校を休まずに治してもらった」と本人も家族も喜んだ。また、デイサービスに通っていた女性が亡くなった後、夫が訪れ「デイサービスであったことをいつも楽しそうに話してくれた」と感謝を伝えてくれた。

 薬剤師とケアマネジャーの資格を持つ妻昌恵さんと6歳の長女希実さん、4歳の長男駿太さんの4人家族。子どもたちに、父母と介護福祉士の祖母、叔母も共に働く姿を見せたいという思いから、施設の2階を住居にした。「家族の支えが何よりの励み」と話す。

 現在、1日の来院・訪問施術者は約250人。柔道整復師や鍼灸師、介護福祉士、看護師、トレーナーなど経験豊かなスタッフ85人がケアに当たっている。先月、軽度の知的障害者の自立を支援する「グループホーム」を創設、今年中に県内3カ所に増設を予定しているという。「『患者様の人生を診る』がモットー。スタッフと思いやりの医療・介護を心がけ、地域になくてはならない施設としてトータルヘルスケアを充実させていきたい」と熱く語った。

略歴: 昭和49年生まれ。平成4年富田浜病院入社。同9年柔道整復師資格取得。同17年「おおえのき接骨院」開業。同25年一般社団法人「日本柔整外傷協会」創設、理事長就任。同年「鈴鹿アンリミテッドFC」取締役就任。同30年「ウエルジュ」創業、社長就任。