-幸せにするお手伝いを オフィスや共有スペース提供- 「D→START(ディースタート)四日市」オーナー 齋藤孝博さん

 近鉄四日市駅から徒歩2分、四日市市鵜の森の太平洋鵜の森ビルに、起業家やフリーランスの人々に低価格でオフィスやスタジオ、共有スペースを提供する「ディースタート四日市」を平成30年1月にオープンした。

 広いフロアに7つの個室オフィスと多目的スペースを完備。現在約40人の会員が、人材紹介会社や結婚相談所、ヨガスタジオ、ネイル・エステサロンなどを個々の時間に合わせて開業している。

 多目的スペースでは、起業女子交流会やパソコン教室、日本の古典に親しむ会、健康についてなど、講師を招いて開くセミナーを企画。「駅から近いので仕事帰りの会社員も参加しやすい」「セミナーでの交流と情報交換が、顧客の新規開拓につながっている」と喜ばれている。

 愛知県で2人きょうだいの長男として生まれた。スタープレイヤーのジーコやマラドーナに憧れ、小3から高校卒業までサッカーに打ち込んだ。愛知大に進学し経済学部で学ぶ傍ら、ゴルフ好きだった父親の影響でゴルフ部に入部した。早朝練習にコースを提供してくれるゴルフ場で腕を磨き、休日はアルバイトでキャディーも体験した。

 実家が借家だったこともあり、家造りのプロになって将来は納得の家を建てたいという幼い頃からの夢をかなえようと、大手住宅メーカー「積水ハウス」に入社した。四日市支店営業課に配属され、5年目には中部3県契約売り上げコンペで1位を獲得。翌年、四日市ハウジングセンター店長に抜てきされ、2年後には店の業績をトップに引き上げた。

 顧客との信頼関係を築きながら、住宅営業一筋にキャリアを積んできたが、40歳を前に「自分の経験をより生かせる職業があるのでは」と思い始めた。折から住宅建築のコストが上がり、給料は上がらない現状からローン返済に追われる実例も目の当たりにしていた。

 働く意欲があっても時間の制約で働けない、資格を生かす場所がないなど、子育て中の女性の要望に応えられないかと模索を始めた。時間に制約されない活躍の場を提供して起業を支援し、世帯収入を上げることが、これまでに販売してきた住宅のローン完済にもつながるではと考えた。

 次男の小学校入学を機に、インテリアコーディネーターの資格を生かして働きたいという妻裕美さん(33)の希望も後押しできると、独立を決意。「幸せな家族をより幸せにするお手伝い」をコンセプトに20年間培ってきた知識と経験を生かし、愛知県を拠点にフランチャイズ展開するレンタルオフィス「ディースタート」四日市店を設立した。

 妻裕美さんと、サッカーに夢中の長男舜太さん(10)、次男充希さん(7つ)と愛猫キキ(メス、2歳)の4人と1匹の家族。長男は昨年、県大会に初出場した。「ボールを追う姿が自分の幼少期と重なり、2人の成長が何よりうれしい」と語る。

 「セミナーや交流会を通して、ローン返済中やこれから建てる方、また独身の男女、リタイア後の方など幅広い年齢層の人々が思い描く新たなステージを支援していきたい」と熱く語った。

略歴:昭和48年愛知県で生まれる。平成9年愛知大学経済学部卒業。同年積水ハウス入社。同29年積水ハウス退社。同30年「ディースタート」開設、代表に就任。