炭火焼きやオリジナル料理をゆっくりと楽しめるおしゃれな和風居酒屋をコンセプトに、平成14年、鈴鹿市西条に「座 Ｄｉｎｉｎｇたわわ」を開業。本店に続き白子駅前店、津駅前店、四日市店、同28年に展開した静岡県の浜松有楽街店を加え、現在は６店舗に拡大している。
鈴鹿市白子で２人兄弟の次男として生まれた。小学５年の時、父親の勧めでボーイスカウトに入団した。中学卒業までの５年間、キャンプやハイキングなどの屋外活動や奉仕活動を通して、「備えよ常に」の精神を養った。津市の高田高校から、名古屋市の近畿大短大部商経科に進み経営学を修めた。
卒業後はＯＡ機器販売や美容商材卸会社などで６年間勤務した後、結婚を機に退社。学生時代のアルバイト経験から、一番やりがいを感じた飲食業で起業して自分の新たな可能性を見いだそうと決意した。
知人の紹介で入社した、コース料理を気軽に楽しめる群馬県のファミリーダイニングで３年、新潟と東京の居酒屋で５年間修業を積んだ。その間、妻美紀さんは共働きをしながら、夫の夢を支えた。東京六本木店の店長を経て、新潟本部の役員に選任されたが、独立するなら今しかないと退社した。
鈴鹿市に戻り、空き店舗を探してイメージ通りに改装し、美紀さんとスタッフ10人ほどで開業した。木のぬくもりと間接照明、ジャズのＢＧＭで演出した落ち着いた雰囲気の中で、備長炭を使った本格炭火焼の旬の魚介類や創作和食を、お勧めの和洋酒とともに提供している。「誰にも教えたくないお店」「本命の相手と来る店に決めている」という常連客も増え、手応えを強く感じた。
平成16年に有限会社「輪音ｃｒｅａｔｉｏｎ厨」を設立。「おいしさと心地良さで、お客さまの身も心も豊かに」をモットーに店舗展開を開始し、従業員は６店舗で70人余に増えた。修業時代の経験から、従業員の満足度が高くなければ心からのおもてなしはできないと考え、営業時間の短縮や定休日を日曜日に変更するなど働きやすい職場環境を整えた。
美紀さんと12歳の長男、10歳の長女４人と、チワワの親子５匹とのにぎやかな家庭。帰宅が遅く、子どもたちの寝顔しか見られない日が多いが、休日には家族そろって出掛ける。犬たちの世話もしっかりとできるようになった２人の成長が何よりの楽しみ。「疲れを癒やし、充電できる場をつくってくれる妻に感謝です」と笑顔で語る。
「社員に初めて賞与を出せた時と、長年アルバイト勤務だった人が正社員になりたいと言ってくれた時の喜びは忘れられない」と振り返り、「これからは各店舗を健全に維持するとともに、いつか自分の店を持ちたいという意欲ある人材を育て、１００パーセント出資子会社としての独立を精いっぱい応援していきたい」と意欲を語った。
略歴： 昭和43年生まれ。同63年近畿大短大学部商経科卒業。平成６―14年飲食店などに勤務。同14年座Ｄｉｎｉｎｇたわわ創業。同16年「輪音ｃｒｅａｔｉｏｎ厨」設立。同20年―同28年鈴鹿、四日市、津、浜松市に６店舗開設。