-地域に根差し、企業支援 プロに徹して付加価値も- 「税理士法人だいち」代表 土田繁さん

【「経営、税務、会計に関する課題とニーズに全力でお応えしていきたい」と話す土田さん=四日市市大井手で】

 四日市市大井手の「税理士法人だいち」は、父の故勤さんが昭和44年に創業した経営コンサルティング会社「企業経営管理センター」と、自身が平成17年に開業した「土田会計事務所」を母体として平成29年に設立した。企業の経営や事業継承、節税などに関する申告内容の税務調査を行い、四日市を中心に県内各地で業績を伸ばしている。

 四日市市で2人きょうだいの長男として生まれた。「幼少時に小児ぜんそくを発症し、両親に心配をかけた」と振り返る。中学生になるとぜんそくも治り、姉が所属していた剣道部の顧問の勧めで入部し、練習に打ち込んだ。高校時代はバレー部に入り、チームプレーの楽しさに触れた。

 いつの頃からか父の仕事に興味を持つようになり、公認会計士を目指そうと名古屋大学に進学した。経済学部で学びながら、2年生からは資格取得のための専門学校にも通って猛勉強し、1年目で2次試験(会計士補)に合格。4年になってからは、会計士協会の研修所に通って実務経験を積み、卒業後は津市の監査法人に入社した。

 勤務の傍ら勉強を続け、3年目に3次試験に挑戦して公認会計士となり、加えて税理士の資格も取得した。資格取得を喜んでくれた父から「仕事を手伝ってもらいたい」と言われ、監査法人を辞めて実家に戻った。父の経営コンサルティング事務所と同じ敷地に自身の公認会計士・税理士事務所を開設して、父の仕事もサポートできるようにした。

 初めのうちは、方針の違いで父と衝突することが多かったが、少しずつ認め合えるようになり、5年目頃からは相乗効果もあって業績が上向きになった。晩年の父が「息子がいてくれて良かった」と、うれしそうに話していたと父の友人から聞き、父への感謝と尊敬の念を新たにした。

 「士(さむらい)業とは利潤追求ではなく、プロに徹する仕事」―。父の精神を胸に、顧客の税務調査対応や経営アドバイス、納税の資金繰りまでをサポート。顧客のニーズに応えるだけでなく、それにどれだけ付加価値をつけることができるかを職員7人と目標に掲げている。

 妻仁美さんと父親っ子の長男拓海君(12)の3人家族。普段は帰宅が遅いが、休日は日帰り温泉施設でのんびり過ごし、夏休みには家族旅行を楽しんでいる。「家族があるから頑張れる。皆で互いに尊重し合いながら成長していければいいなと思う」と話す。

 地域企業の発展につながるよう、大地に根差してしっかりと支えていきたいという思いから昨年、法人化して「税理士法人だいち」と改称した。「経営、税務、会計に関する課題とニーズに全力でお応えしていきたい」と目を輝かせた。

略歴: 昭和47年四日市市で生まれる。平成7年名古屋大学経済学部卒業。同9年公認会計士資格、税理士資格取得。同年「公認会計士・税理士 土田会計事務所」開設、代表に就任。同29年「税理士法人だいち」設立。