食費衛生で知事表彰 座右の銘は「生涯学習」 「カフェレスト・オリーブエイト」オーナーシェフ 竹腰英大さん

「感謝の心で常に上を目指して働きたい」と語る竹腰さん=四日市市芝田の「カフェレスト・オリーブエイト」で

 四日市市芝田の手打ちパスタとワインの店「カフェレスト・オリーブエイト」は、平成8年に開業。イタリアのワイン生産地の名を付けた店は、赤れんががアクセントのおしゃれな外観で、高い吹き抜け天井の明るい店内では、約60人がゆったりと食事を楽しめる。

 「きれいな調理場でなければ、おいしい料理はできない」がモットー。開業以来、19年間使い込んでいるフライパンや鍋は、今でも新品のように輝いている。同23年には、食品衛生優良施設として知事表彰を受賞した。

 レストラン経営とともに不動産業、高齢者福祉事業にも参画。市内を中心に、賃貸マンションやサービス付き高齢者住宅経営に事業を拡大している。昨年、統括本部としてヤマタケホールディングスを設立した。

 四日市市久保田で2人きょうだいの長男として生まれた。幼少時は内気な性格で、6歳年上の活発な姉の後について回っていた。常磐小から笹川中に進み、片道40分の自転車通学で足腰が鍛えられたせいか、陸上競技では常にアンカーを任された。進学した桑名市の高校でも、陸上部に入り短距離走の記録を伸ばした。

 高校卒業後、津市の大手企業に就職して3年間務めたが、「飲食業で起業したい」と一念発起し、退職して横浜市の調理師専門学校で基礎を学んだ。四日市に戻り、洋食レストラン5店舗で数年ずつ合わせて17年間修業を積んだ。起業の夢を目指す情熱が、見習い時代の折れそうな心を支え、チーフから店長へと導いてくれた。

 独立開業後は、オーナーシェフとして厨房に立つ。こしがあり、もちもちとした食感が自慢の自家製生パスタと手作りケーキが人気メニュー。「ごちそうさま」「また来るね」と、開店当時からの常連客や口コミの来店者らが掛けてくれる言葉が、何よりの励みになる。

 10人の従業員らが楽しく働ける職場づくりを心掛け、笑顔と心遣いで接客することを自ら率先して実践している。「ここで働けてうれしかった」と、進学や就職、結婚が決まって辞めたアルバイトらが、友人や子どもと共にお客として来てくれる。修業時代から目指していた、従業員の気持ちになって考えられる経営者に、少し近づけたかなと感じている。

 妻は家庭を守り、子育てに専念してくれた。長男は、大阪の調理師専門学校を卒業後、他店で修業の傍ら、時々厨房を手伝ってくれている。唯一の趣味は車だが、遠出のドライブ旅行はできないため、おいしい店ができたと聞くと、休日を利用して従業員らと出掛ける。料理を味わうことはもちろん、店の造りや食器、接客もしっかりとチェックし、良い点を見習うようにしている。

 「『生涯学習』を座右の銘に、感謝の心で常に上を目指して働くことと、店を愛し、育てていただいた地域社会に精いっぱいの貢献をしていきたい」と目を輝かせた。

略歴:昭和33年生まれ。同55年横浜調理師専門学校卒業。平成27年四日市食品衛生協会副会長就任。同年県喫茶飲食生活衛生同業組合四日市支部長就任。