四日市市茂福町に本社を持つライフステージは同市内を中心に、有料老人ホームやグループホームなどを運営し、介護事業に取り組んでいる。
子どもの頃から乗り物が好きだった。電車も好きで、駅でいろんな電車を撮影し、夏休みの自由研究にまとめた。「将来の夢の一つはパイロットになることだった」と懐かしそうに笑う。
地理が得意で、世界各国のさまざまな地に思いをはせた。大学では経営学を学んだが、3年生の時に旅行会社で添乗員のアルバイトを経験。「荷物を運んだり、雑用係だったけれど、自分の好きなものが凝縮されている仕事だった」という。旅行代理店への就職を決めた。
富士山を見たがっていたが、見ないまま亡くなった祖母の思い出があり、「同じような高齢者を旅行に連れて行ってあげたい」という気持ちも大きかった。世話好きで、人を喜ばせることが好きな性格も、旅行業には向いていた。
最初の赴任先は四日市市。初めて足を踏み入れた第一印象は、「煙突の多さに驚いた」。「自分にとっては社会人としての基本をつくってくれたまち」と話す。
職場では営業職として、型破りな旅行企画をいくつも成功させてきたが、同時に仕事の厳しさも学んだ。当時の上司のおかげで「真剣に仕事と向き合う姿勢」が身をもって分かった。上司は尊敬する人物の1人として心に強く残っている。
転機は30歳の時だった。静岡への転勤。新しい赴任先では介護施設へ営業に行く機会が増え、介護に興味を持ち始め、独学で勉強を始めた時、知人から「介護業を始めよう」と誘われた。全く異業種への転身のようだが、自身の中では「介護を通じて、高齢者を旅行に連れて行くことができる」という部分は変わらず、違和感は無かった。「高齢者に楽しんでもらいたい」と、新しい夢に向かって決意した。
3人で介護事業を始め、経験と実績を重ね、34歳の時に同社を設立した。代表取締役でありながら、介護福祉士や介護支援専門員などの資格も取り、現場で高齢者一人一人と向き合う。「心の輝きを消さない」介護を心掛け、黒子に徹する。「介護のプロとしての知識も大切だが、感性や博学であることが必要」と語る。
「このまちで、介護の新しいモデルを構築していきたい。介護会社だからこそできるケア付き旅行も実現したい」と目を輝かせる。
「時代の流れに合わせて、立ち止まらず、変わっていかなければいけない。けれど、変わらないままの自分や、会社であり続けたい」と、介護にかける情熱をほとばしらせた。
略歴:昭和45年生まれ。石川県出身。平成16年ライフステージ設立、代表取締役就任。