四日市市富田の「O―GOE(おーごえ)」は平成19年、新卒採用コンサルティング会社として、同市松寺で創業した。企業の人事担当者へのアドバイスや若者の応募につなげる企業PRなど、採用活動全般の支援とともに、今春、学生応援のための新事業にも乗り出した。
「私たちは『人』が持つ力を信じ、磨き、高め、家族、地域、企業の繁栄に貢献します」―を理念に掲げ、平成25年に四日市オフィスを開設。現在、13人の社員と共に、新卒採用のコンサルタント業務、採用業務代行、有料職業紹介業、就職活動に関する各種セミナー開講、新卒就職サイト「マイナビ」代理店として、若手人材と企業の懸け橋になるべく活動の幅を広げている。
岡山県で2人きょうだいの長男として生まれ、小4の時、母親の実家がある四日市に移り住んだ。幼少時から剣道に親しみ、小3から大学卒業まで13年間剣道に打ち込んできた。「輝かしい成果は残せなかったが、忍耐力はしっかりと身に付いたと思う」と振り返る。
四日市南高から広島県立大に進学し、経営学部を修了後、四日市市の食品貿易会社に就職した。総務・経理担当として働き始めて9年目、カレー・チェーン壱番屋の創業者宗次徳二氏の講話を聞いた。「失敗してもいいから何でもチャレンジすべき。失敗は教訓として活(い)かす」という言葉に魂を揺さぶられた。
幼いころからかわいがってくれた父方、母方双方の祖父が会社を経営していた影響で、「大きくなったら、おじいちゃんたちみたいに社長になりたい」という夢を抱いていたことを思い出した。「サラリーマンで終わりたくない」と独立を決意し、33歳で「O―GOE」を創業。企業回りから始め、就活アドバイザーとして認知してもらい、信頼関係を築いてきた。
昨年、学生を応援するための子会社「Loud Voice(ラウド ボイス)」を設立。新卒者を求める企業にスポンサーになってもらい、今春、津市の三重大近くに「はてなカフェ」を開業した。学生らはカフェでくつろぎ、興味のある企業の会社説明会に自由に参加できる。「学生専用無料カフェ」の斬新なアイデアは、昨年度のみえぎんビジネスプランコンテストで優秀プラン賞を受賞した。
毎朝、3人の子どもたちを保育園に送ってから出社するイクメンパパでもあり、子育て中の女性社員への理解は深い。「子どもの急病や幼稚園、学校の行事などを優先できる働きやすい職場です」と、社員らは声をそろえる。
「県外企業に負けないPR力をつけ、地元出身者が県外に進学や就職をしても、戻ってきやすい環境づくりをしたい」と意欲を語った。
略歴:昭和48年岡山県で生まれる。平成8年県立広島大学経営学科卒業。同10年食品貿易会社「交洋」就職。同19年「O―GOE」設立、社長就任。同25年四日市オフィス開設。同27年津オフィス開設。同年「Loud Voice」設立、社長就任。