四日市市鵜の森1丁目に本社を持つ岡本総本店は、岡本家具店として昭和9年に創業。今年、創業80周年を迎える。現在は同所の四日市本店をはじめ、県内に6店舗ある。一般家具小売業。
「子どもの頃は近くの諏訪公園で、みんなで野球やサッカーをして遊ぶことが多かった」と振り返る。
中学では剣道部に所属し、地元の小学生たちに指導することもあった。「1番は真正面からぶつかっていくところ。でも、戦略を考えた駆け引きもあって、一瞬の判断が勝敗を分けるところが楽しかった」と、剣道の魅力について話す。
スポーツが盛んな東京の私立高校に進学し、下宿生活を送るなど、独立心旺盛な一面もある。
いつの頃からか「いずれは自分が家業を継がなければいけない」と、漠然とした意識はあり、大学では経済学を学びながら、長期休暇の時などは会社で家具の配達などを手伝った。
大学卒業後は、修業のためによそで就職することも考えたが、父親の「いずれ辞めて帰ってくると分かっている人間に何を教えてくれるのか。親からのプレッシャーなど、いろいろな関係の中で、自分を磨いた方がいい」という言葉に納得。父親の会社に入社することを決めた。
「優柔不断だけど、決めたら一直線。自分を追い込むことで精神を鍛えて、出口を探すのが好きなタイプ。負けず嫌いなところもある」と自己分析する。
入社後は、配達からスタートし、営業を担当。営業成績のいい販売員の手順やタイミングなどの技術を見よう見まねで覚え、半年後には追い付けるようになった。その時の経験は、今も生かされている。
社長就任後は在庫管理の徹底や組織改革など効率化を図ることを重視自身が率先して掃除や接客もする「フットワークが軽いのが自慢何でもする」と笑う
「生活様式の変化に合わせて、時代に合った売り方をしていかないといけない」と、インテリアコーナーを設置したり、商品構成を変えたり、世の中の流れを敏感に察知するためのアンテナは、常に高く持つ。「地域密着型の店として、ここで生きていくしかない。信頼を無くすような質の悪い商品を売ることはできない」と商品へのこだわりも半端ない。
基本的に休日はない。睡眠時間は約5時間。息抜きとして、付き合いを兼ねたゴルフに月1、2回行く程度。「仕事も生活の1つとして捉えているので、無理はしていないつもり」と話し、「今は仕事に専念する」と気合が入る。
20歳を迎えた三つ子の子どもたちは、今年無事成人式を迎えた。「一度に3人だったから、小さいときは本当に大変だった」と懐かしそうに目を細め、一瞬で優しい父親の顔になった。
略歴:昭和41年生まれ四日市市出身平成元年岡本総本店入社平成5年取締役就任平成15年代表取締役社長就任現県商工会議所青年部連合会会長四日市法人会青年部会長など