―笑顔と真心を込めて― ENEOSガソリンスタンド「増田油店」社長 増田和彦さん

【「お客様の安全と快適なカーライフを見守り続けていきたい」と話す増田さん=桑名市相川町で】

桑名市相川町の「増田油店」は、父の故東平さんと母の故たつゑさんが同市北鍋屋町で昭和9年に創業し、今年90周年を迎えた。当初は菜種油やゴマ油などの食用油の小売販売をしていた。同27年に現在地に移転し、スタンダードバキューム社の代理店としてガソリンスタンドを開業した。

昭和40年代には2号店「名四桑名SS」、3号店「西桑名ネオポリスSS」を増設。平成5年に2号店を閉業し、跡地に賃貸集合住宅を建設して不動産業界に参入、同15年、亡き父から経営を引き継いだ。本店1店舗となった現在は、妻と長女夫婦、従業員5人でフルサービスの給油と車検などの軽整備に当たっている。

ハイブリッド車や電気自動車の普及によって、近年はガソリンの需要が減少してきているが、市内の自動車部品メーカーとの取引や不動産事業の拡大で業績は安定している。

桑名市で3人兄弟の長男として生まれた。両親が忙しく、叔母に連れて行ってもらった石取祭の楽しさが幼少時の思い出として心に残っている。中学では軟式テニスに打ち込み、高校生になってからは家業を継ぐべく、名古屋商科大学の商学部に進学した。

ゼミの教授に、野外授業であちこちの飲食店に連れて行ってもらって楽しかったこと、夏休みに同級生5人で長野県と富山県にまたがる後立山連峰の白馬岳を3日がかりで縦走したことなど、共に過ごした学生時代の仲間とは今でも交流が続いており、会えばお互い当時に戻って懐かしい思い出話に花が咲く。

卒業後は、父の紹介で四日市市の潤滑油精製会社で1年間セールスを学んで家業に入り、給油、オイル交換、灯油販売、営業などの仕事に携わった。セルフスタンドが増える中、「元気なあいさつが気持ちいい」「丁寧に窓を拭き上げてくれるのがうれしい」など、フルサービスならではの心遣いで好評を得ている。

町内に住む長女は経理を担当し、長女の夫はスタンドの所長として勤務している。今は、給与やシフト作りなどの総務と、時には給油も担当する妻洋子さん(76)と、スタンドで番犬を務める愛犬ココと暮らしている。

「毎朝1時間ほどのココとの散歩が健康の秘けつ。温泉が好きで、休日には妻と日帰り温泉でリフレッシュしている」と話す。「結婚して53年、仕事を支え、両親の世話も子育ても、常に笑顔でこなしてくれた妻には感謝しかない。夫婦げんかもなく、喜び悲しみを分かち合いながら二人三脚で人生を歩んできた。自分にはもったいないくらいの最高の伴侶です」と話す。

「従業員一同、笑顔と真心を込めたサービスでお客様の安全と、快適なカーライフを見守り続けていきたい。いずれなくなっていくガソリンスタンドの将来を見据え、従業員と娘たち夫婦がしっかりと生活を維持していけるように準備を整えてからバトンタッチをしたいと考えている」と語った。

略歴: 略歴:昭和19年生まれ。同41年名古屋商科大学卒業。同年「谷口石油」入社。同42年「増田油店」入社。平成16年「増田油店」社長就任。