―未来につながるもの創る― 「TMK建設」社長 奥地竜哉さん

【「近い将来、飲食業界への進出を名古屋の地で果たしたい」と話す奥地さん=鈴鹿市南若松町で】

三重県鈴鹿市南若松町で平成25年に親友2人と「TMK建設」を創業。3人の頭文字をつなげて社名とした。高速道路の橋脚部や下水道浄化センター建設などの公共工事、一般住宅の基礎・外構工事など、総合建設会社の協力会社として工事に携わり、東海3県をエリアに業績を伸ばしている。

令和3年には衣服の企画・販売を手がける新会社「Tom」を設立して、アパレル事業への異業種参入を果たした。岡山県のアパレルメーカーと共同で新商品を開発、丈夫で軽く伸縮性のある生地にこだわったカジュアルなスーツタイプの仕事着は「おしゃれなデザインで着心地もいい」とネットで評判になり、売り上げを伸ばしている。

現在は、スタイリッシュな作業着や動きやすいデニムパンツの販売も開始している。SNS(交流サイト)を通じて、日々の出来事を動画や写真で紹介しており、フォロワーは5万人を越えている。「購入者の感想を直接見ることができて励みになり、本業の宣伝にもなっている」と話す。

鈴鹿市で2人兄弟の次男として生まれた。幼少時から活発で、小6からスポーツ少年団でサッカーを始め、中3までサッカーづけの毎日だった。四日市工業高校に進学したが2年で自主退学し、中学時代の友人と「将来は独立して一国一城の主になろう」と誓い合って建設会社に入社した。

型枠工事の現場で先輩職人らの仕事を手伝いながら、技術を見て覚える日々が始まった。道路やマンションが完成した時の達成感、造った物が長く残るという喜びが胸にわき上がり、仕事がどんどん面白くなっていき、5、6年後に現場を任せられるようになった。

入社から12年後、社長が引退し経営を引き継いだ。だが、創業時からの社員は少しずつ離れていき、親しい同僚2人と共に新会社を設立した。誠実な仕事で実績を積み重ねながら事業を軌道に乗せ、共に働く社員も増やし15人になった。

建設現場では、土木、足場組み、型枠、鉄筋・鉄骨、電気・水道設備など約10社の職人らが連携しながらスムーズに工事を進める。令和元年、工事施工に当たり品質の確保や向上に貢献したとして国土交通省から表彰された。「社員全員の士気が上がり、より一層の団結力が生まれた」と振り返る。

趣味は仕事とゴルフ。下戸だが、お酒の定番おつまみの焼き鳥が大好物だという。「仕事の後、仲間とわいわい騒ぎながら過ごす時間が最高のリフレッシュタイム」と笑顔を見せる。

令和2年、北勢地域の若手経営者らを対象に、地域社会への貢献活動を通して学び合い、共に成長することを目指す県中小企業交流会「MR」を創設した。月1回、18人の会員と経営や経理、賃金、人材育成などをテーマに意見交換会を開くほか、地元スポーツチームのスタートアップ支援、ボランティア活動などで親睦を深めている。

「未来につながるものを創る」―。ベテランの経験値と若手社員らの機動力で、丁寧かつ迅速な仕事がTMK建設のモットー。「『常に己に問え』を座右の銘に、型枠工事から土木事業への参入、アパレル業界進出と一歩ずつ前進してきた。近い将来、飲食業界への進出を名古屋の地で果たしたい」と意欲を語った。

略歴: 昭和54年生まれ。平成9年「カミカ建設」入社。
同21年「カミカ建設」社長就任。同25年「TMK建設」創業。令和2年県中小企業交流会「MR」創設。会長就任。同3年アパレル会社「Tom」創業。

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