―安全と品質最優先心がけ― 総合物流サービス「スズカキャリーサービス」社長 寺川正浩さん

【「安全性の向上に努め、喜んでいただける総合物流サービスを提供していきたい」と話す寺川さん=鈴鹿市国府町で】

鈴鹿市国府町の「スズカキャリーサービス」は、父の故正男さんがトラックドライバーを経て、昭和37年に同市平野町で創業した運送店が前身。本田技研との取引など事業規模の拡大に伴って移転を重ね、同50年に法人化して現在の社名とし、来年50周年を迎える。

平成7年、国府町に工場を新設し、同14年に本社を新築移転した。同年、「総合物流サービスを通じて社会に貢献し、従業員の福祉向上と社会の発展に努力する」という理念とともに、父から経営を引き継いだ。同18年には、人材派遣会社「SCパートナー」を設立した。

現在は、車両の金型や部品の輸送、エンジンの倉庫管理から配送までを手がけている。東海3県を中心に関東、関西などに15トン車からトレーラーまで80台余を稼働させている。

「安全第一・品質最優先」をモットーに、4つのゼロ「交通事故」「商品破損事故」「労働災害」「お客様クレーム」を朝礼で唱和し、ドライバーとリフト作業者、管理事務担当者ら120人が、心をひとつにして仕事に取りかかっている。

鈴鹿市で3人きょうだいの長男として生まれた。小3からサッカーと水泳を始め、高校の3年間は社会人アイスホッケーチームで練習を重ねた。卒業後は、父の勧めでカナダ・バンクーバーのカレッジに留学した。

ホームシックと言葉の壁が少しずつ解消され、中国や台湾、韓国などからの留学生らと共に学び、アイスホッケーやスキーで交流を深める内に、積極的に自分の意見を言えるようになった。「異文化に触れることで柔軟な思考力が身に付き、視野が大きく広がったと感じた」と振り返る。

4年半の留学を終えて帰国。岐阜県の自動車部品製造会社に入社して、資材の調達から出荷までの製造工程を2年間学んで、家業に入った。スポット溶接などの現場仕事を手始めに、製造管理業務、輸送管理などに携わり、33歳で経営を引き継いだ。

荷積み荷下ろし時の部品の落下事故などによる顧客からのクレームにも誠実に対応している。報告を受けると、社員に安全輸送の重要性を伝えながら再教育して改善を図る。「社員全員の意識向上で商品事故は減少している」と話す。

妻美奈さん(49)と長女結菜さん(15)の3人家族。休日はユニバーサル・スタジオ・ジャパンやディズニーランド、年に4、5回は国内外への旅行を楽しんでいる。「笑顔が絶えない家庭をつくってくれる妻に感謝。1人娘なので家業を継げとは言えず、やりたいことを見つけてくれたら応援したい」という。

「輸送業務を軸として、倉庫保管や品質サポート業務など、お客さまの要望に応えながらさらに安全性の向上に努め、喜んでいただける総合物流サービスを提供していきたい」と意欲を語った。

略歴:昭和44年生まれ。平成4年カナダ留学より帰国。同年自動車部品製造会社入社。同6年「スズカキャリーサービス」入社。同14年「スズカキャリーサービス」社長就任。同28年―30年鈴鹿市倫理法人会会長。同30年県トラック協会鈴鹿支部副支部長就任。令和3年鈴鹿商工会運輸通信部会長就任。