
三重県鈴鹿市平田新町の「サカタ」は、父の故領一さんが昭和41年に創業した乳母車と人形の店「阪田ベビーセンター」が前身。同48年に市内の大型商業施設に2号店を出店し「サカタベビー」と屋号を改めた。同57年の本店新築を機に「赤ちゃんデパート サカタ」、同60年に法人化して「株式会社サカタ」とした。
平成13年、父から経営を引き継ぎ、同15年には本店を倍の広さに増床して1、3階をベビー用品、2階を人形売り場とした。ベビー、マタニティ用品からひな人形、5月人形、こいのぼり、宮参り衣装、子ども服まで幅広い商品を提供している。
「初出産に何をそろえれば」という出産準備の相談にも丁寧に応じている。肌着、布や紙のおむつの使い分け、お布団など、季節によって赤ちゃんが一番快適に過ごせる商品を提案している。
「祖母に娘のひな人形をこちらで買ってもらい、今度は私が孫に贈ります」、「出産祝いに頂いたベビー服やシューズが気に入って」と訪れるお客様も多い。計測してあつらえるファーストシューズや、チャイルドシート指導員による取り付けサービスも喜ばれている。
鈴鹿市で2人兄弟の長男として生まれた。幼少時から店の隅で、両親が接客する姿を見て育った。小5から弟と一緒にカブスカウトに入り、ボーイスカウト、シニアスカウトと進み、高2まで活動を通して自立心とチームワークの大切さを学んだ。併せて、中高では陸上部に所属し、棒高跳びや短中距離走の練習に励み、中3で県大会、高3で県高校駅伝大会に出場した。
将来は体育教師になりたいと思っていたが、幼い頃から、長男だから家業を継ぐのが当たり前だと周囲から言われ続け、悩んだ末、両親の喜ぶ顔が見たくて決意した。卒業後は、父の勧めで名古屋市のおもちゃと人形の製造卸会社に入社した。
量販店への営業を担当し、受注・納品など商品の流通過程を学び、名古屋市内の百貨店で接客、販売も経験した。3年後、父から家業が忙しくなってきたので戻るように言われ「サカタ」に入社した。
出産前に来店されたお客様宅への訪問などの営業活動から始め、3年目には大型商業施設内2号店の店長を任された。市内に百貨店がないことに着目し、子ども服やマタニティ服の百貨店ブランドと取引交渉をして、取り扱うようになり業績を大きく伸ばした。
経理を担当する妻佳代さん(58)、マタニティ・ベビー用品売り場を担当する1人娘の彩菜さん(33)と夫で店長を務める英治さん(35)、孫2人の6人家族。孫たちを中心に、自宅でのバーベキューや年数回の家族旅行を楽しんでいる。
娘夫婦の提案で、お客様家族の撮影会やはいはいベビーレース、手型・足型を作成するお楽しみ会を開催するイベントスペースを設けるなど、共に保育士だった経験と子育ての経験を生かしてお客様に好評を得ている。
「常にお客様の気持ちにより添って誕生と成長の喜びを分かち合い、専門店ならではのサービスをより一層充実させて、地域になくてはならない店を目指したい」と意欲を語った。
略歴:昭和39年生まれ。同58年県立石薬師高校卒業。同年おもちゃ・人形製造卸会社入社。同61年「サカタ」入社。平成13年「サカタ」社長就任。同15年鈴鹿青年会議所理事長就任。同17年鈴鹿ロータリークラブ入会。令和4年鈴鹿法人会副会長就任。