―「価値を無限に創造」モットーに― 総合建設業・不動産業「1級建築士事務所・株式会社ウインクス」社長 水谷将紀さん

【「信頼と実績を積み重ね、会社を発展させたい」と話す水谷さん=四日市市羽津町で】

総合コンサルタント会社「長工」=四日市市=の設計部で4年間勤務した後、平成21年に独立して1級建築士事務所を開設。その後、社名を「ウインクス」とした。

開業当初は仕事がなく、飲食店でアルバイトをしながら生計を立てていた。バイト先の常連さんの依頼で店舗改装を手がけたことをきっかけに、口コミで徐々に顧客が増えていった。

「価値を無限に創造する」ことをモットーに現在、設計士、建築士、土木施工管理技士、宅地建物取引士などの資格を持つ社員12人が、心をひとつにして信頼と実績を積み重ねている。東海3県を中心に、企業の社屋や工場、一般住宅などの設計、施工とリフォームを手がけ、業績を伸ばしている。

数年前、企業の社屋と工場の設計から施工までを手がけた。明るく、働きやすい環境にしたいとの要望に応え、適切な動線と開放的な空間づくりを提案し、意見交換を繰り返しながら約2年かけてデザイン性と機能性を兼ね備えた建物を完工した。

「思い描いていたもの全てが詰まっている。社員のモチベーションが格段に上がった」という施主からの言葉に、「計画段階から携わったプロジェクトをやり遂げたことが、社員全員の自信につながった」と話す。

四日市で2人きょうだいの長男として生まれた。野球好きの父の影響で、物心ついた頃からバットとボールで遊んでいた。小1からスポーツ少年団で野球を始め、キャプテンとして中3で三泗地区大会優勝、中部日本大会で準優勝を果たした。

各地の高校から声をかけられ、特待生として愛知県の東邦高校に入学した。野球に明け暮れ、3年の春センバツで、憧れの甲子園の土を踏んだ。福井工大工学部に進学後も、建設工学科で学ぶ傍ら、1年から全日本大学野球選手権に出場した。

小1から、ひたすらプロ野球選手を夢見てきたが、高2の頃から徐々に自身の力の限界を感じ始めていた。仲間と分かち合ったうれし涙と悔し涙の思い出、まだまだやれたのではという思いもあったが、大学卒業後は野球以外の世界でトップを目指そうと、大きく人生のかじを切った。

卒業後は四日市の総合コンサルティング会社に入社し、設計部に配属された。勤務の傍ら、野球で培った根性で勉強に打ち込み、3年目で1級建築士の資格を取得。営業から設計、施工まで全てに携わりたいと思うようになり、4年間務めた会社を退社して独立した。

外資系企業に勤める妻克美さん(34)は1年前からマレーシア・クアラルンプールに3歳の長男奨さんを伴って赴任しており、1人暮らしをしている。「毎晩、テレビ電話で妻とその日の報告をし合い、成長する子どもの姿を見るのが楽しみ。2人が戻ってくるのが待ち遠しい」と話す。

「常に顧客に寄り添い、要望を形にする提案をしていきたい。業者さんと社員とのチームワークを大切に、信頼と実績を積み重ね、会社を発展させたい」と語った。

略歴: 昭和58年生まれ。平成18年福井工業大学工学部卒業。同年「長工」入社。同年宅地建物取引士資格取得。同21年1級建築士資格取得。同24年1級建築施工管理技士資格取得。同26年1級土木施工管理技士資格取得。