-「安心安全、明るい住まい」 3代目、前職は警察官- 「セントラルリフォーム」社長 中井宏樹さん

【「『リフォームスタジオ』の年度内開設に向けて、社員が力を結集しています」と話す中井さん=津市阿漕町で】

 津市阿漕町の「セントラルリフォーム」は、義父の故絹良さんが同市藤方で平成7年に創業。中勢地区を中心に、壁や床のクロス張り替えや畳の表替えなどの内装工事を手掛けてきた。同24年、亡くなった母徳子さんを継いで3代目社長に就任した。

 リフォーム全般から不動産管理業、太陽光発電の企画・設計・施工などに事業の幅を広げ、中勢から県全域にエリアを拡大して業績を伸ばしている。

 愛知県知多市で3人きょうだいの長男として生まれた。幼い頃から活発で、小学時代は軟式野球に打ち込み、ピッチャーとして知多市大会にも出場した。「勉強は苦手だったが、運動神経だけは誰にも負けない自信があった」と振り返る。

 中2で伊勢市に移り住み、中・高校6年間はテニスに打ち込んだ。宇治山田高から名古屋市の名城大に進学し、勉学の傍ら音楽イベントや旅行などの企画、実施をするサークル活動に参加した。また、学生のうちにできるだけ視野を広げようと、家庭教師などのアルバイトにも精を出して、ヨーロッパやアジアの国々を旅行して様々な文化を体験した。

 卒業後は、在学中に取得した宅地建物取引士の資格を生かせる住友不動産に就職。東京での研修後、札幌支店の開発事業部に配属された。土地の情報収集と併せて事業計画を立て、土地購入からマンション建設、管理運営するグループ会社に委ねるまでの一連の業務に携わった。

 仕事は楽しくやりがいを感じる日々だったが、寝る時間もないほどの忙しさに体が悲鳴を上げていた。「もう1度、人生を考え直してみよう」と、3年後に地元に戻った。母は家業を継ぐことを望んでいたが、警察官になる道を選び、愛知県警の採用試験を受けた。

 警察学校での研修を終え、名古屋市の警察署に配属された。逮捕術や剣道などのスキルを磨き、5年後には県選抜メンバーとして中部管区逮捕術大会で優勝、全国大会に出場を果たした。警察官になって8年目、母が体調を崩して半年後に亡くなった。

 「会社は自分が守る」―。生前の母との約束を守り、警察官を辞めて家業を継いだ。社長不在が続いたため離れていった顧客もあり、残ってくれた社員らと共に新たな取引先の開発のため駆け回った。3年ほどでようやく事業を軌道に戻すことができ、リフォームに加え、防災システムや太陽光発電の企画・設計・施工も手掛けるようになった。

 「安心・安全・明るい住まいづくり」をモットーに、社員9人が心を一つに協力し合っている。朝礼やミーティングで、社への要望や改善点を気軽に話せる場を設け、快適な職場環境作りにも取り組んでいる。

 社員の提案で3年前、前職の警察官をモチーフに、社のマスコットキャラクター「セントラくん」を作成。リフォーム110番がキャッチフレーズの「セントラくん」はネット上でも「かわいい」と反響を呼び、「セントラくん」のステッカーを張った営業車やチラシでさらなる周知を図っている。

 リフォームを基盤に、長持ちする戸建て・アパートの新築事業や、オーナーの高齢化で維持できなくなったマンションを買い取って管理運営をする事業も始めた。「これまでの施工事例を見てもらいながら相談に応じる『リフォームスタジオ』の年度内開設に向け、社員が力を結集しています」と目を輝かせた。

略歴: 昭和54年愛知県生まれ。平成13年名城大商学部経済学科卒業。同年住友不動産入社。同17年愛知県警入署。同24年セントラルリフォーム入社、社長就任。