前号からの続きです。
「派遣切り・期間工切り」「オバマ大統領就任式」の文字が躍る日本の新聞を見ながら、ジャワ島から帰国する機中で考えたこと。
インドネシアはインドのネシア(島々)という言葉からもわかるように、インドの影響を有形無形に受けています。インドにカーストが厳然と存在していて近代化の壁になっているように、インドネシアにもクストという身分階級制度があります。
階級の階段は絶対に這いあがれません。不可能ではないでしょうが、猛勉強して難関国立大学に入り、官吏になれれば出世が約束されるという、日本のような生易しさではありません。
(ここでわかりやすく単純化するためのモデルとして、観光地であり日本人にもなじみ深いバリ島について取り上げてみます。
インドネシアは島だけで14000あり、人口2億4000万人といわれています。言語もジャワ語、スマトラ語以下300以上あるといわれています。共通語としてインドネシア語があります。各島でも名称は様々ですが、似たり寄ったりであるようです)
なぜなら、バリ人のカーストの最下層―スードラの人々には姓がない。名前も決まっている!
長男―ワヤン、次男―マディ、三男―ニョマン、四男―クトゥツというものです。五人目以上は元に戻って、イをつけます。イ・二ョマンとかイ・コマンといいます。
クストによって同じバリ語でも、使う言葉が異なってきますし、姓がなくては役員登記不動産取得をして所有権登記も困難です。
のし上がるのが困難な次第です。
しからば姓を持たないスードラ階級の人々は、バリ島人口240万人のうち何パーセントぐらいか。
答えは表題にあります。93%です。
日本が、いかにこれまで素晴らしい平等社会を形成してきていたか、ということです。こんな国は世界に二つしかないかもしれません。
日本と中華人民共和国です。(日本も戦前は階級社会でした)
インドネシア人民は不幸のどん底かというと、まったく異なります。
> 毎日楽しく暮らしています。このあたりが中国人・日本人との最も大きな違いなのです。 成り上がり願望・上昇志向が強すぎると、本人はもちろん周囲にも災厄を招来します。
犯罪を犯しても、「儲けるが勝ち」といった誤った観念のとりこになって、資金繰りに詰まって、凶悪犯罪にあるいは詐欺行為に、巻き込まれていくのです。
ここでもう一つの私からの質問です。
日本国のGDPに占める、中小企業・零細商店の産み出すGDPと大企業の産み出すGDPの比率は総計を100%としたら、何%VS何%でしょう。
答えは表題どおりです。93%VS7%です。(大企業が7%しか産み出していないのに注目)これは平田耕一財務省副大臣(当時)が官僚から聞き出した数字です)
輸出産業は一見華々しいですが、大した富を生み出しているわけではありません。
幸い、新聞業は内需産業です。
いたずらに不安にあおられて意気消沈することなく、内需を拡大していくことこそ日本再生への第一歩なのです。