「不況またよし」と言ったのはパナソニックの創業者松下幸之助翁です。
この言葉には千金の重みがあります。不況の時こそ(ひまになってくるから)、虚心坦懐になり反省もし、日ごろの忙しさにかまけて、なおざりになっていた業務の見直し、無駄の削減を実行できるというものです。 幸之助氏のいう不況とは、多分に在庫調整的なもので、昨年来の経済恐慌とは根本的に異なるものです。
総論は、マスコミ等で聞き飽きているでしょうから、私の最近の不況体験を記してみます。 私が社長を務めている、ビル・メンテナンス会社宛に、顧客から3月31日契約解除通知書が届きました。
23年間メンテナンス業を請け負ってきた鈴鹿市平田町のマンション管理組合からの書面です。
事情を社員に聞いてみますと、「35戸ほどのマンションの約半数が空き家になっている。」
「ローンが払えなくて、夜逃げしたり、行方不明になっているようだ。」
「ローンが払えないのだから、毎月の管理費が滞納されるのはもちろんのことだ。」
「残って居住している人たちが、負担して管理費を支払ってきたが、もう限界に達したようだ。」
「おまけに、毎月管理費を徴収していた役員さんも、住宅ローンが払えなくて管理組合の集金した金を持って夜逃げしたようだ」
「競売になって落札者がでたら、滞納共益費を一括して払ってもらえるから、その都度メンテナンスをしていくようだ。」
当方の打撃としては、毎月のメンテナンス費126000円、年にして1512000円の売り上げが消失したことになります。
そのマンションを担当していた社員や、清掃のバイトの従業員も失業の恐れを持ち、不安なまなざしで私の顔を見ます。「不況がひたひたと忍び寄ってくる」ではなくて、「経済恐慌というモンスターに殴りつけられた」という気分です。
この経済情勢は、まだまだより深刻さを増しつつも数年以上続くでしょう。
それはひとえに、我々がぜいたくな仕事環境になれ、役人は民間に対して増税一本槍できたことなども関係しています。
どうすればよいか。
「誰でもできることで、頭を使わない仕事は儲からん」(井原西鶴)という至言も参考にし、社員各位が新規客を開拓するために、訪問していただくこと、新規顧客開拓しかありません。