郷土への思いは人一倍 − 伊藤ふみ代さん


【「地域の繁栄と活況が1番の願い」と話す伊藤さん=四日市市安島の四日市都ホテルで】

 「子どもの頃は、もっと地域が元気だった。お客さんとじかに触れ合える対面の魅力が懐かしい」と、近鉄四日市駅周辺の商店街の変遷を、幼少の頃からずっと見続けてきた。
 現在は不動産業として自社ビルの管理運営に携わる同市諏訪栄町の愛汗屋商店だが、10歳の頃に父親が現在の場所に3階建てのビルを建設。1階で果物や野菜を販売、2階でレストランを経営していた。「隣には岡田屋もできて、人があふれて活気があった」と振り返る。
 地域の発展とともに父親の店も繁盛し、遠方からの来客も絶えなかった。忙しさから、仕事を手伝うのは子どもの時から自然なことだった。「旬の果物が入荷すると、よく伊勢新聞に載っていた記憶がある」と目を細める。
 やがて少しずつ商店街の元気さが失われ、個人商店から貸しビル業に。「アピタができる前が、まちが一番さみしい時期だったような気がする」
 平成10年に父親の後を継ぎ、後継者となった。現在は、四日市一番街商店街振興組合理事も務める。「今はシャッター街から、少しずつ活気を取り戻している状態だと思う。地域の繁栄と活況が一番の願い」と郷土への思いは人一倍強い。
 10月4、5日に諏訪神社周辺で開催する「秋の四日市祭」が、多くの人でにぎわうよう、理事として陰で祭りを支える。
 「商売をしていた時、ごひいきになったたくさんのお客さまに日々感謝を募らせている。皆さまの顔が懐かしく思い起こされ、明日への励みになる」とほほ笑んだ。

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