人の心に寄り添い生きる − 名張淑子さん
【「人の役に立てることが生きがい」と話す名張所長=四日市市楠町の自宅で】
看護師だった母親の後ろ姿を見て育ったせいか、小さい頃から「人の役に立てること」が生きがいだった。
小学生の時には、小遣いをためてキャラメルを買い、自宅近くの施設に届けた記憶もある。近くに住む老人の様子を見守ったり、いつも周囲の人たちの心に寄り添って生きてきた。
26歳ごろから13年間、スペインで州政府主催の子どもや養護者の感性を育成、ケアするプロジェクトに参加。現地での活動は充実したものだったが、帰国後、周囲の環境になじめず、つらい思いを経験したことがきっかけで、人を思いやる気持ちの大切さをあらためて実感した。
同時に、心理学を学び始め、色や形と心理の関係性を研究。独自の描画解析法を発表し、講演会やセミナーなどでの活動のほか、これまでに7冊の著書を出版してきた。「それぞれが持つ良い部分を引き出して、『共感できる自分』につなげていくことができれば」と話す。
東日本大震災をきっかけに「愛や平和についてあらためて考えよう」と、自身が作詞、友人が作曲した歌をこれまでに十数曲作った。11月にはチャリティーコンサートを予定。ボランティアグループ「ハッピーウイルス散布会」設立に向けても多忙な日々を過ごす。
「人生滑ったり転んだり。でも一生懸命やってきた。これからも、弱い立場の代弁者として、支えになれれば」と慈愛に満ちた表情を見せた。