古い町並みで町おこし − 村田典子さん


【「伊勢に生まれてよかった」と話す村田代表取締役社長=伊勢市河崎2丁目の町家とうふで】

 「河崎は『伊勢の台所』。ゆっくり、のんびりと過ごしてもらいたいまちね。伊勢に生まれてよかった」と地元への愛着心は人一倍。おっとりとして見えるが、実はしっかりした姉御肌。
 角仙合同は1750年に創業した老舗店で、日用品や雑貨の卸売業を営む。自身で11代目となる。
 2人きょうだいの長女として、河崎で生まれ育った。家業を継ぐため、45歳で実家に戻り、10年前に父親の仙右衛門さんから社長の座を譲り受けた。
 伊勢商工会議所会頭などを歴任した父と共に、20年以上前から古い町並みを生かした河崎の町おこしに取り組んできた。NPO法人伊勢河崎まちづくり衆の設立や、まちづくりの拠点施設となる伊勢河崎商人館などの開設にも尽力した。
 父が亡くなってからも、河崎の伝統工芸品として、日用漆器の「伊勢春慶」を再生、復興させた。
 4年前には古民家を活用した「町家とうふ」を開店。豆腐などの販売とランチ営業をしている。「食の安全安心とエコ」をテーマに、県産大豆のフクユタカの表皮だけを取り、丸ごと微粉末にした特殊技術で豆腐を作るため、大豆成分が丸ごと摂取できる。店内で出す豆腐料理も素材にこだわり、県内産の調味料を使用。化学調味料は一切使わない。「今日のおまかせ御飯」が11品で1000円など、気軽に味わうことができる。
 「まちづくりの中に、いろいろな経済を結び付けていくことが大切ね」と商人としての一面もちらりとのぞかせた。

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