こび売らず、寄り掛からず − 中川千惠子さん
【「一本芯を通した生き方がしたい」と話す中川会長=津市安濃町の中川製作所で】
「女性が三重を変える」。本連載のタイトルを自身が決めた。「いろいろな人生を歩んできた女性たちの経験には、新しい発見がある。そこから学ぶことで、少しずつでも地域や自分自身のあり方などを変えていくことができたら」との思いを込めたという。
5人姉妹の長女として東京都で生まれ、小学6年生までは疎開で祖父の出身地となる津市で過ごした。結婚後、祖母の介護をきっかけに津市へ戻り、現在は紡績針やじゅうたん織機メーカーの中川製作所(津市安濃町)で、取締役会長を務めている。
「白いものを黒いと言うのは絶対に嫌。一本芯を通した生き方がしたい」とりんとした笑顔を見せる。
好きな詩は茨木のり子の「倚よりかからず」。「自分できちんと立たないとね。結局最後は自分だから。私はこびも売らないし、寄り掛かるのも嫌いなの」と自立した姿勢が、これまでの人生を物語る。
「いろんなことがあるから、くじけそうになることもあるけれど『最善を尽くせば道は開ける』と信じて、どんな時も『何とかやり抜くぞ』という気持ちで乗り越えてきた。できると自信もつくしね」と振り返り、「人とのつながりは財産ね。それで人生が潤ってくる。たくさんの人に助けてもらってきた」と感謝の気持ちも忘れない。
趣味は美術館や史跡巡り。「歴史ある文化って、お金があればつくれるというものではないでしょう。奥が深いところに引かれるの」と、国内外問わず出掛ける。ことし1月にはポンペイの遺跡、3月にはアンコールワットの遺跡を見てきた。「今度はエジプトに行ってみたい」と興味は尽きない。「人生楽しくないと。思ったことをやりたいようにやる、納得のいく人生を送りたいわ」と軽やかに笑った。