『良い本』と出会って

今回、子どもたちや若者たちに、「読書の秋」をお勧めします。

私も高校生くらいまで、正直読書が好きではありませんでした。でも、今は大の読書好き。そう変わったのは「良い本」との出会いのおかげ。では、「良い本」って何だろう。もちろん人それぞれです。私の場合は、「自分が生きていくヒントをくれた本」かな。

小学生の頃に、ヒントをくれた本は、「セロ弾きのゴーシュ」(宮沢賢治著)。私は、小学校高学年から、近所の年上のお友達の影響でチェロを始めたので、「セロ=チェロ」という、ただそれだけで、この本を手に取りました。

セロを弾くのが下手で、いつも楽団の足を引っ張るゴーシュ。動物たちとのドタバタがありつつも、毎日一生懸命練習するのです。結果、あれだけ楽長に怒られていたゴーシュが見事に演奏。演奏会も大成功。アンコールではゴーシュが楽長に指名され、素晴らしい演奏をやってのけました。「諦めずに努力し続けることの大切さ」というヒントを私にくれました。

社会人になって読んだ「竜馬がゆく」(司馬遼太郎著)。坂本竜馬が、全国を駆け巡る「フットワーク」と、その仲間をつないだ「ネットワーク」で幕末日本を変革していく様が描かれています。「現場重視と、異なる価値観でもさまざまな人とつながって物事を成し遂げることの大切さ」というヒントを私にくれました。

ぜひ、本当に気軽でいいので、あなたが気になった本を手に取ってみてください。つまらないなあと思ったら、気にせず他の本へ。その繰り返しで、あなたなりの「良い本」にきっと出会えます。皆さんが、たくさんの「良い本」と出会える秋になることを祈ります。

鈴木英敬
鈴木英敬

すずき・えいけい 昭和49年生まれ。子どもの家庭養育推進官民協議会会長。イクメン オブ ザ イヤー2015受賞、ベスト・ファーザー イエローリボン賞受賞(平成28年)。6歳の長男、2歳の長女の父。