目標は高く、体験が大事

中高校生は期末試験も終わり、いよいよ夏休みという時期ですね。受験生等から勉強方法について聞かれることがあります。その際、「目標は高く。でも、自らの『現在地』をごまかさず。」と申し上げます。

私は大学受験を一度失敗しています。浪人の夏休みに行われた志望校の模試。もともと苦手な数学。なんと0点!「1年多く勉強しているのに!」とさすがに凹みました。

0点をとった理由を分析してみました。志望校の数学が難しいので、レベルの高い問題集ばかりやって、全然理解できていないのに、冊子の裏の解答を見ては、「なるほど~」と「わかったつもり」になっていたのですね。

そこで、予備校の本屋に行き、「高校数学初級問題集①」という最も基本からやり直すことにしました。浪人でしたし、予備校の自習室でこの問題集を開くのは、正直恥ずかしかったです。受験まであと半年で焦りもありました。でも、やり続けました。結果、徐々に数学に対する苦手意識も消え、合格につながったと思います。

目標はぜひ高く持ってほしい。しかし、実現のための道筋を描く時、自分の『現在地』をごまかしては、決して目標には届かない。情報が氾濫する時代を生き抜く姿勢にも共通します。インターネットなどにあふれる他人の経験等に触れ、「やったつもり」「知ったつもり」になっていないでしょうか。自分が経験してみたら全然違う。ぜひこの夏休み、子どもたちには、自ら体験することを大事にし、勉強以外のことも含めて、「できた!」「わかった!」をたくさん経験してほしいです。

◇毎月第三日曜日に掲載します。

鈴木英敬
鈴木英敬

すずき・えいけい 昭和49年生まれ。子どもの家庭養育推進官民協議会会長。イクメン オブ ザ イヤー2015受賞、ベスト・ファーザー イエローリボン賞受賞(平成28年)。6歳の長男、2歳の長女の父。