2023年10月5日(木)

▼いやしくも言論の府である県議会が、本会議での発言内容を単なる動画投稿サイトから理由も明示されずに「規約違反」だと削除され、「警告」なるメッセージまで受けて「同じことがたびたび続く場合は今後の対応を検討したい」(議会事務局)―とは、ずいぶん腰が引けた物言いだ。せめて「言論の自由に対する重大な挑戦だ」ぐらいは言って、ただちに今後の対応を検討してもよかったのではないか

▼削除されたのは廣耕太郎県議の2日の一般質問。「発言の危うさ」は自他ともに認めるキャラクターらしいが、その日の“危うい発言”は頭皮の“自虐ネタ”。削除理由は純粋な質疑応答の中にあるのだろう。本紙報道の限りでは、新型コロナによる死者数と、ワクチンによる副作用死。いずれも当局側の答弁とかみあっており、特に副作用死は、大方の県民にとっては初めて目にする数字ではないか

▼議会事務局は3日朝に「利用規約違反により削除」の表示に気づき「警告」も届いたので審査を求めたが認められず、動画投稿サイト「ユーチューブ」を介さずホームページ(HP)に動画を掲載する形で夕方復旧させたという。議会活動を県民に知らせるためのツールとして活用しているユーチューブから規約違反を指摘されるなど本末転倒で、民主主義の根幹にも関わる

▼もともと投稿サイトは人権侵害が横行する百鬼夜行の空間で、業界団体結成と秩序が緒についた。理由も開示せず削除するのは自由だが、県民への公報が義務づけられる議会がその業務を妨害され「同じことが続いた場合―」では済むまい。