▼横浜市長として全盛期の中田宏氏を招いた業界の会合で、国と係争になったらどちらが勝つか質問した人がいた。「国ですよ。法律を作る権限があるから、かなわない」
▼米軍普天間基地の辺野古移設工事を巡る国の設計変更を知事が承認しないことの是非が争われた裁判で、沖縄県の敗訴が確定した。最高裁によると、承認そのものが国に代わって県が執行する「法定受託事務」だという。地方分権一括法で消滅したはずの機関委任事務が姿、形を変えて継続していたことになる。本家本元と権限争いをして勝てるはずがない
▼「設計変更」というあいまいなルールで、長良川河口堰事業では県も追い詰められた。本体工事着工に同意しない県に対し、国と水資源公団は“周辺工事”なるものを増やし、県負担分を請求してくる。敗北を覚悟させられた
▼高速道路など公共工事にも「設計変更」はつきもので、工事遂行に必要な設計変更は同意する仕組みだから当初の予算が2、3倍に増えることも珍しくない。歯止めはないのかと議会で何度か問題になったが、時間がかかるとそれだけ負担が膨らむから争うことも容易ではない
▼北朝鮮のミサイル発射でJアラートが鳴った5月末。特に沖縄への危険度がうわさされ、テレビが繰り返し呼びかけたそうだ。「沖縄のみなさんは地下街や地下鉄などの施設に避難してください」。沖縄には地下鉄も地下街もない。防衛施設を受け入れさせ、沖縄に戦いを持ち込もうとする本土全体の意図ではないかと、親川志奈子沖縄大非常勤講師が雑誌『世界』で不信感を募らせていた。