▼インフレが止まらない。驚くのは、CPI(消費者物価指数)が6月に3・3%、7月に3・1%と二カ月連続で3%を上回り、6月は米国より高かったことだ。米国のインフレが沈静化してきたのに日本は高進中だ
▼大手メディアはインフレと言っているが、物価上昇に賃金上昇が追いつかないのだから、明らかなスタグフレーション。実質賃金は15カ月連続で低下中。この状況に、本来なら「物価の番人」の中央銀行は金利を引き上げなければならない。が、日銀はインフレを放置したままだ
▼「失われた30年」でデフレに慣れきった日本人はインフレに対する免疫がない。いまも貯金に励んでいる。しかし、インフレとは貨幣価値が下がること。本来の意味は「膨張」であり、貨幣の量が膨張するので結果的に物価が上昇する
▼日銀が目標とした2%程度のマイルドなインフレは好景気の証と言うがそうではない。年2%のインフレだと貨幣の購買力は五年後に9%減少。年5%だと22%、年10%だと38%も減少する
▼高インフレが劇薬なら、マイルドインフレは毒薬。時間をかけて国民生活をむしばんでいく。