2023年8月25日(金)

▼人口減少対策がすぐに効果の上がる性格ではないと承知はしていても、一見勝之知事が「人口減少対策元年」と言って二年目。どこかに成果の片鱗(へんりん)ぐらいは見られないものか。本年度の学校基本調査結果によると、小学生と中学生は昭和23年度の調査開始以降で過去最少を更新。頼りの幼稚園児は11年連続で減少

▼公立の幼稚園が七園廃園しているのが、その背中を押しているのかどうか。代わりに幼保連携型認定こども園が七園増えているが、差し引きの数は105人の減少。子育て環境の良し悪(あ)しやアナウンス効果についても、早めに検証してほしいものだ

▼小中高になると学校統合の話題ばかりで、教育環境がどんどん悪化していないか。定員割れ対策が背景にあったとはいえ、いつぞやの“魅力ある高校づくり”施策で応募者数を急増させたなども、今や忘却の彼方(かなた)だ。他県の生徒を導くなどの施策も、運動部の越境入学問題ですっかり腰が引けてしまった感がある

▼問題解決には対症療法と根治療法がある、と言ったのは野呂昭彦元知事だ。全国最大規模の不法廃棄物問題などで、当面の処理や現状固定策を対症療法とし、根治療法としてリサイクル運動を進めた。RDF発電事故やフェロシルトなど、ごみ問題が県政の長期課題だった時期を過ぎ、根治療法は姿を消した気がする

▼小出しの人口減少対策も例外には見えない。知事は年度始めの職員訓示で「断じて行えば鬼神も之を避く」と、計画実行を促した。秦の始皇帝死後の政権争いで長男を殺すよう次男に勧める宦官の言葉

▼目先の利害を優先した言葉である。