▼津市白山町に計画中という太陽光発電事業の環境影響評価書に対する知事意見はなかなかに深刻。計画地には「盛り土の斜面が崩壊した痕跡が確認され」、生態系だけでなく、周辺の住宅地の生活環境に影響することが認められるという
▼影響には、設備からの騒音や太陽光パネルの反射光、工事の濁水などもあげられている。盛り土が崩壊した痕跡は異常災害時代の将来に不安を残すし、太陽光発電が加われば、多くの犠牲者と被害をもたらした一昨年の熱海市土石流災害を連想させる。盛り土の設計基準や順守度で全国の自治体に差があり、人災とも指摘された
▼県はこれまでミニ開発や産廃、ゴルフ場などが注目されるたびに開発申請が集中。緩い規制で土砂も大量に持ち込まれ、鈴木英敬前知事の“英断”で規制強化されたのはよく知られる
▼その鈴木前知事が旗を振ったのが太陽光や風力発電の自然エネルギー。ご多分に漏れず全国から申請が殺到してたちまち県の目標値を突破。更新の手続きに入ったが、市民の苦情が相次ぎ、風力発電のプロペラが飛ぶ事故などがあり、減速に転じた
▼全国や県内最大規模などと県民をあおるが、マイナス面を考慮せず突っ走った結果がどうなったかは、四日市コンビナートやRDF(ごみ固形燃料)発電など、数々の黒県史が証明している。中規模でじっくり精査し、堅実に進めて支障はない
▼計画地の中心は元ゴルフ場で、県はその範囲に限定してパネルを設置するよう求めた。ゴルフ場はコース取り優先で、芝生の緑とは似ても似つかぬ地盤と言われる。“聖域”はない。