2023年8月7日(月)

▼友人が勤務する薬局を訪れた80代後半の女性が雑談の中で言った。「クーラーは嫌いなの。のどもあまり渇かない」。若い頃は折り紙付きの健康体だったのではないか

▼クーラーの中で生活しているとクーラー病(冷房病)になると言われた。クーラーが電化製品・三種の神器として生活の中に浸透し始めたのは昭和40年ごろ。庶民には手の届かぬ高級品で、よく分からぬ事での不気味さもあった。クーラー嫌いは長く日本人の潜在意識に住み着いていた気がする

▼実際は、クーラーに長時間さらされることで皮膚から水分が蒸発して体内の熱を逃がす機能が失われ、高熱を温存して器官に障害を起こす。熱中症と同じような経緯をたどるらしい。クーラーの使い過ぎも要注意だが、汗をかかず、のども渇かぬのは感覚が鈍っているのではないか。友人は水を飲むことだけはアドバイスしてお帰りいただいたという

▼台風接近で猛暑が緩和されたのは皮肉だが、この数日はともかく暑かった。日中歩いていると、指の股を伝って汗が流れ落ちる。日傘なしで歩いている人は少数派。県教委が暑さ指数31度以上の場合は部活動などの運動中止を県立高校と特別支援学校に通知した

▼これまでは「中止の検討」だったが、山形県の女子中学生死亡で急きょ対応を改めたという。部活動にとってコロナが去ってまた一難というところか。山形の中学校も暑さ指数のガイドラインがあったが、当日は測定していなかった

▼ガイドラインはそのたぐいが多い。県教委の「中止の検討」はどうか。常識が通じぬ現在。総点検も必要だ。