2023年8月4日(金)

▼「便りのないのは良い便り」とは、問題があれば何か言ってくるはずだから、何もないのは無事な証拠、の意味。反対語は「虫の知らせ」「胸騒ぎ」になるか

▼文化振興条例案が関係法に抵触する可能性があるとされる問題で、県は見解を文部科学省に問い合わせたが目下、返答はない。このまま来ない可能性もあるという。心境やいかに。「人事を尽くして天命を待つ」境地にはなれまい。文化振興の職務権限を県教委から知事に移管する「特例条例」を提出する方向で調整を始めたという

▼まずその手続きが必要だと手順前後が指摘されていたが、歩み寄った形。議会の承認が得にくいし、返事を待っていては条例案の成立が遅れるなどを理由にあげ、特例条例なしで「違法性はない」と言っている。往生際が悪いというものだろう

▼事が起きて「違法性はない」というのはこれまで政治家の“専売特許”だった。業者との癒着疑惑で「法に触れることがあったら辞任する」と言った知事もいたが、むろん政治は法に触れなければいいというものではない。県職員も、ここは政治家の口まねに限ると思ったのかもしれない

▼「文化振興条例案に違法性がない」には違いなくても、問われているのは執行権がどこにあるのかだ。環境生活部にも、文化振興を担うことのできる部制条例があるというだけでは説得力がない

▼総合博物館 美術館 斎宮歴史博物館が環境生活部の所管で、埋蔵文化財センターは県教委―と文化行政の境界はあいまいでどこが建設主体かで分かれてきた趣。文科省もいまさらと言いたくならないか。