▼来月1週間の予定でブラジル・サンパウロ州を訪ねる一見勝之知事一行の出張費が一人当たり約120万円で、高額が話題の香川県議らの半額以下。県担当者は「ホテルで最も低いランクの部屋に」
▼香川県議の豪華出張は評判で、2年前には高松地裁で旅費返還の判決がでたことがある。11月の出張にまた高額予算を組み、批判を受けていた。県はこの状況を意識したというが、一見知事は「私が知事になってから海外出張の経費は減った」。回数と随行職員の多さに大名行列とやゆされた前知事を意識したに違いない
▼新任知事が前知事の目玉施策の継承に不熱心なのは恒例だが、悪いことばかりでないのは海外出張の見直ししかり。5期20年の田川県政から交代した北川正恭氏は中庸をよしとした前県政からの改革を目指し、その一環で「さわやか会議」を提唱した
▼それまでの会議は担当以外は“沈黙は金”が尊ばれたが、「さわやか会議」は出席者が必ず一言、発言することが義務づけられた。今は元のもくあみの感だが、会議というもののあり方を教えられた気がした。次の野呂昭彦氏は同年齢で考え方も似ているところがあり、前任者の“負の遺産”の精算や組織の修正などに務めた
▼鈴木英敬氏は踏襲嫌いで、何か一点でも新味がない限り予算を認めようとしなかった。それぞれの背景、思惑が表れておもしろい
▼「州や県人会との関係を確認し、県の魅力を発信することに意義がある」と知事が訪問の意義。その通りだが、こちらは、前任3人の強烈な個性に対抗していこうという気迫はまだ見えない。