▼路地で駐車場からバックで出てきた車と接触事故を起こした話は以前書いた。保険会社は責任比率が二対八が基本。一対九を目指すと言ってほぼその線でまとまったが、修理工場で「昔と違い、今はこちらの負担もゼロにはなりません。保険会社の査定が厳しいですから」
▼一応ゴールド免許を続けているので、修理工場に持ち込んだ事故は遠い記憶しかないが、やはり負担比率が低かったのだろう。別の修理工場だったが「こっちの(事故とは関係ない)傷も治しときます。向こうの保険に請求するので費用はかかりません」と言われたことを思い出した
▼靴下に重りを入れて車を傷つけたり、必要のない部品を交換したり―中古車販売大手ビッグモーターの悪質な保険金水増し請求の手口は、兼重宏行前社長の「そんなことまでしていたのか」という発言と似てしまうようなのが恐縮だが、かつて誠実そうな修理工場の工員が「保険会社には高めに請求して(こちらの負担割合は)ゼロにします」と頼もしげに言ったことも思い出す
▼「違ってしまった昔」の中身がどうだったかの詳細は知らぬが、少なくとも水増し請求は工場レベルでは日常的だった気がしなくはない。「昔と違って」という言葉に郷愁を感じたのは気のせいか。祭りが終わったのに一人踊り続けていた姿をビッグモーターに重ねてしまう
▼同社の一部店舗前で街路樹が枯れた問題を受けて、県は県内の同店前を調べ、街路樹に異常はなかったと明かした。根拠や現象があるからではなく、憶測や噂に基づいて調査し公表する。SNS時代で行政も変わる。