▼新型コロナウイルスの感染状況について、一見勝之知事は21日の記者会見で「ちょっと増えてきている状況」。9週連続増加していると発表された2日後だった。その4日後には10週連続増へ
▼会見でコロナが話題になるのは5類移行後、6月28日に次いで2回目。いずれも報道側からの質問が契機だった。前回は、知事が担当部門の医療保健部に質問し出すなど、不意を突かれた感が強かったが、21日は毎週の定点観測のグラフを用意しているなど準備万端。夏休みを迎えることから、対策を呼びかけることにしたという
▼呼びかけた対策は3つ。まず定期的な換気では、暑さ対策も合わせて換気もできるクーラーの使用。次いで手洗い、消毒の徹底。最後に再びマスクの着用ならぬ活用。高齢者の面談や医療機関に出向く時、混んだ車両などの状況に応じて着用をという。孫の来訪が楽しみな高齢者は気を悪くするかもしれない
▼マスクを外す流れは、もう後には戻らない気がする。特に若者のグループではほとんど着用は見かけなくなった。道行く人で1~2割程度。死亡者数の把握をどうするか。「国に確認した上で県が判断する」と前回会見で語ったが、今回は何も触れなかった。国が後向きとみられる施策を嫌うのは県も承知。官僚だった知事も百も承知に違いないが、アラートの目安としている病床使用率が「そんなに大きく上がっていなくて」と言ってから4日後に、危険区域としていた40%に近づいた
▼感染速度は知事の想定を上回るのかもしれない。今度こそ名実ともに教訓を生かした備えを。