▼「解散風」が吹いた通常国会が閉会して一カ月ほどが経ち、議員たちは長い夏休みに入っている。「防衛費増額の財源」「異次元の少子化対策の財源」「マイナンバートラブル」など山積する問題は全て先送りされた。しかし、実は一度吹いた解散風はまだ吹き続けている
▼先月、維新の馬場伸幸代表が「衆院補欠選挙が見込まれる10月22日が投開票日になるよう衆院を解散するというのはもっぱらの噂だ」と会合で発言。さらに岸田文雄首相自身が、9月前半の内閣改造を検討中という。となると、改造後の臨時国会の冒頭で首相が解散に打って出るというシナリオが現実味を帯びる
▼解散理由は実にシンプル。このままでは内閣の支持率が上がる見込みがないからだ。となると、今秋の「改造・解散」を逃せば来年の自民党総裁戦まで解散できない
▼選挙を見越してか、東京都で袂を分かった公明との選挙協力も元に戻った。衆院の「十増十減」による候補者調整も進行中。さらに首相はEUとの首脳会談、中東歴訪など、外交による得点稼ぎの日程を組んでいる
▼「聞く力」が得意の首相は、国民よりも吹く風の音を聞くようだ。