▼いつぞや京都大学人文学部のそうそうたる教授らが小学生に授業を試みた。河合隼雄教授(故人)が「小学生に教えるのは本当に難しい」。NHKラジオが夏休み企画として毎年、子ども電話教室を開き、各分野の専門家が子どもたちの疑問に答えている。専門用語を使えぬ戸惑いを見せながら、分かりやすく回答しているのはさすがだ
▼6月中旬に迫った「G7三重・伊勢志摩交通大臣会合」を前に、同会合の県推進協議会が「考えてみよう交通の未来」をテーマに親子連れらを対象に直前イベントを開いた。平成28年の伊勢志摩サミットは何を議論するのか、分かったような気になっていたが、よく分からなかった。今も昔も世界を巡る問題、課題はある。それらが対象だろうと漠然と思っただけだ
▼各閣僚会議でも。環境相会議などと違って「交通相会議」となると、はたと戸惑う。一見勝之知事は直前イベントの主催者代表として「15の閣僚会合の中で、日々の生活に一番関係がある。交通や観光に課題がある県での開催は意義深い」。はて日々の生活に関係とは―。課題とは―
▼津市から参加した小学校5年生の少女が「地球環境に優しい乗り物ができればいいな」。子どもの言葉に、逆に納得する。なるほどそういうことか、難しく考える必要はないんだ、とわずかに目が開かれる心地がした。リニア新幹線、買い物難民―。県の交通問題は山積している。エネルギー問題に直結してもいる
▼皇學館中での出前授業では、自動車なしで成り立たない米国生活が紹介された。国土の広さの違いはあれ、県と同じだ。