▼女子生徒へ性的言動を繰り返した26歳の県立高校男性教諭を停職処分―など、県教委の懲戒内容は相変わらずだが、ついぞ聞いたことがないと思ったのは福永和伸県教育長のコメントだ。「セクハラやパワハラに対する社会の感度に教育現場が追いつけていない。これでは、どれだけセクハラは駄目だと話しても刺さらない」
▼教育現場は現実社会とは別世界で、理非曲直を説いても無駄と言っているように聞こえる。思い当たること、なしとしない
▼なにしろ一カ月前の就任会見で、不祥事根絶、資質の向上などの課題に「真正面から力を尽くしていく」と語ったばかり。県立特別支援学校の講師が生徒に不適切発言をした問題を例に、ハラスメントに対する鈍感ぶりを改めていくことを強調し、校長は口頭注意で済ます考えを示した
▼なのに、校長は解決を教員任せにし、保護者への報告、謝罪は十カ月後。講師はその後も不適切発言をしていた。今回、改めて校長を「文書厳重注意」にしている
▼先のセクハラ教諭も校長から指導を受けた後も繰り返していた。教育長も怒り心頭に発したか。かつて教師不足で採用枠が拡大し「先生でもやろう」「先生にしかなれない」の教師が増えて“でもしか先生”と呼ばれた。教師の採用が狭き門となってから聞かなくなくなり今や「教職を志す若者がどんどん減って」「定数分の確保が簡単ではない状況」だとして、福永教育長は「教職という職業の正念場。輝きを取り戻したい」
▼教育への向き合い方としては今も昔も、構成的にそう変わっていなかったのかもしれない。