2017年10月24日(火)

▼台風一過。澄み切った青空が広がった。大気中の汚れが雨とともに地上に落ち、風で吹き飛ばされるからだと聞いたことがある。どこへ吹き飛ばされていっただろうか

▼午後、津市の志登茂川堤防道路を歩いた。川辺に表れた土の上を千鳥が忙しく走り回り、冬を越すために戻ってきたカモの姿も増え、アオサギが孤影を水面に映す。ほどよい水量が川底に捨てられた自転車やバイク、プラスチック製品を視界から消してくれる

▼ペットボトルが一つ、流れていく。そういえば、木片や木くずに混じって護岸のあちこちに固まって2年越しに漂っていたペットボトルなどの家庭ゴミも、台風は一気に伊勢湾へ押し流したと見える。波や紫外線にさらされる過酷な環境で粉々に裂かれてマイクロプラスチックとなり、プランクトンや魚に食べられる食物連鎖の末、いつの日か我々の食卓に戻ってくる構図か

▼伊勢湾の漂着ゴミは鳥羽市答志島の奈佐の浜に集まるとされ県、近隣自治体、太平洋を囲む国々との間で清掃活動や話し合いが進むが、いつぞや三重テレビで三重大と協力したシミュレーションを見たら、ほとんどが鈴鹿を中心に北中勢の川から流れ込んでいた。「考えは地球規模で行動は足元から」は、能書きはいいから自分の頭のハエを追えということだろう

▼選挙区減と野党分裂でひときわ厳しい選挙と言われたが、投票率は戦後最低の前回から微増の同2番目だった。厳しかったのは候補者だけで有権者にとってはコップの中の嵐だった。汚れを吹き飛ばせたかどうかは知らぬが、意識の隔たりは広がりつつある。