2023年3月24日(金)

▼G7首脳陣のウクライナ訪問のしんがりを担って、岸田文雄首相が訪問先のインドから隠密裏にウクライナに飛び、同行記者団はインドに「おいてけぼり」をくらったと一部全国紙が伝えていた

▼ダミーの日程を配って情報漏洩に神経を使った。バイデン米大統領の場合、代表取材記者2人の携帯を没収するなどで厳しく管理して同行させた。だました日本と、囲い込んだ米国という報道対応の際立った違いを見せつけた

▼米国政府と報道機関との関係はよく知らぬが、日本は厳しい状況にあるのではないか。やはり安倍政権下でのモリ・カケ・サクラ、検事総長人事など、首相自身の関与が取りざたされる問題が多発する一方、関係書類がなくなるなどで、決着せずに疑惑が残ったままになった

▼その中で、元首相はメディアに対し単独会見方式を採用。結果的に差別化を図った。憲法9条の考え方について「読売新聞を熟読してほしい」と異例の国会答弁したのはその一例

▼読売の単独会見は7回、産経は夕刊フジを含めて最高の32回、次いでNHKの22回。対して、毎日は5回、共同通信4回、朝日3回。単独会見をエサにメディアの分断を図ったとも指摘されている

▼新聞について言えばまんまと乗せられた感があるのは、政府の方針に真っ向意見が対立し、互い言いっ放しで譲るところがない。相互不信が募り、報道機関として同一歩調を取るべき場面が少なくなった

▼代表取材2人でまとまりきれるか。政府が報道を信用しきれるか。同行記者団「おいてけぼり」の滑稽さが全てを物語っている気がする。