2023年3月17日(金)

▼告示が2週間後に迫った県議選で、多気郡選挙区の現職、濱井初男氏=新政みえ=が緊急入院し、出馬断念の意思を固めた。定数削減・合区を受けた未踏の選挙戦で単独過半数あるいは最大会派をめざす新政みえにとっては寝耳に水の事態だが、後任擁立の可否を含めて対応を検討するという

▼擁立断念も選択肢ということか。何が何でもの意気込みは感じられないが、新政みえにとって、特に今回に限ったことではない。立候補者擁立にしばしば思うに任せぬ印象がつきまとう。絶対多数時代の自民党県議団は現職死去に伴う通夜の日に幹部らが、後継候補の選考を始めていた

▼衆院中選挙区時代の松阪市選挙区で数日後には後継を決めたが、当時の県連会長田村元氏と激しく競合した野呂派の幹部で、県連幹事長らが上京して了解を取り付けたが、結果は、地域労組協議会議長に敗れた。次期衆院選は同議長が田村氏の選挙事務所に常駐し、采配を振るった。田村氏後継を目指していた中川正春氏が自民を離れ、鈴鹿に拠点を構える遠因ともいわれた

▼自民勢力同士が、反自民勢力同士が激しく争い、その余波が県議や市町村議にも深く影響し、選挙のエネルギーが県内隅々に浸透して、政治への関心が熱かった。小選挙区になって一国一城のあるじ制度が定着して、政権交代が事実上困難になると、地域の政治のマグマも徐々に冷やされてきた

▼松阪市選挙区は、会派は別にしても田村派、野呂派が2議席を分け合い、緩衝地帯のような位置づけがみられた。その政治風土がいま、変革を迎えるかどうかの瀬戸際にある。