▼涙が出過ぎたり、うまく流れないのが「涙目」で、原因の一つがドライアイという(本紙『すこやかゼミ』)。目が乾く状態が涙の出過ぎる原因になるとはにわかに信じがたいが、何事も行き過ぎはよくないということだろう
▼コロナ禍で、マスクがドライアイの原因になると言われた。鼻にかかる部分から息が上に抜けて涙を蒸発させ目を乾かすという。その結果、涙腺の機能を低下させ、涙目にもなるがドライアイになり、角膜を傷つけたりもするらしい。マスクと目の関係についてはコロナ禍でいろいろ解き明かされている
▼その第一は、目は口ほどに物を言うというのが日本人特有のことわざで、意思伝達に言葉より目力の方が効果的なことは知られるが、欧米に目を抽出した類似の格言は見当たらない。人種、言葉、それも難解な言語も多いせいで、相手の意志を知ろうとすると口元に多く注意が向けられる
▼幼児も同じで、赤ちゃんが大人の表情で注目するのは、日本人では圧倒的に目で、欧米では口元の比率が増す。マスクをすることは、日本人のコミュニケーションにあまり影響はなさそうだが、幼児教育では口元を見せて発音を覚えさせるのが大切で、マスクは言語能力の発達に致命的遅れが生じると保育士などは警戒している
▼眼鏡にかなう、目は心の鏡、流し目、恋は盲目など、目と意志を一体に扱う言葉は多い。身近なせいか、視覚障害者に対する「合理的配慮」は遅れている。県で障害者雇用枠が設けられて久しいが、視覚障害者が一人もいないのはそのせいだろう
▼目の上のたんこぶは見えない。