▼巨額の公金横領事件が発生した南伊勢町の議会で、町議が「縦割り行政の部分が強かったのでは」と指摘し、上村久仁町長が「縦割りの部分もあったかもしれない」
▼町の内部調査があり、弁護士など第三者の検証があり、本人は逮捕され、初公判も開かれた。事件の輪郭が固まる中で、そのいずれにも言及されていない可能性の話について、本人や当時の上司に損害賠償を求める議案の中で審議する
▼ピントが外れてはいないか。弁護士らの個別外部監査は、水道事業会計と病院事業会計以外の再監査の必要はないと報告している。多額の現金を扱う公営事業以外では発生しにくい事件で、原因はネコをかつお節の前に置いたことだと言っているようだが、一方で管理体制やチェック体制の不備を挙げ、各課での再確認も求めている
▼縦割り行政の弊害が庁舎内にまん延していることを指摘したかったのかもしれない。上下水道課では高額の修繕なども規則に反し、随意契約が通常で、見積もりなどの書類も存在しない。町立病院では帳尻を合わせに天引き金などを処理する預かり金会計が多用されたが、預かり金の保管場所として「預貯金」と記入され、その最終処理先を示す摘要欄には「預かり金へ」。矛盾した仕訳になっているのに、誰も気づきもしなかった
▼規則はあってもほとんど守られておらず、病院の事務長にしろ上下水道課の課長にしろ「公金を扱う自覚が不足」と外部監査。「不正は行われないことを前提に職員を信用しきって任せきりに」の分析が随所にある。無責任が縦割り行政の本質とも言える。