▼津市の前葉泰幸市長が広報誌に月1回で連載している「市長コラム」の11月号のテーマは「道路が描く都市の未来図」。国道23号を補完して市内外への南北移動を円滑にする中勢バイパスが「着工40年の時を経て」来年度中に全線完成する見通しをはじめ、合わせて東西移動の地方道工事も着々進行
▼バイパスと連携する計画路線は、旧各市町村を結び、リニア中央新幹線の県内駅への接続も視野に入れているとして「社会経済情勢の変化に対応し、まちづくりや防災を意識した」。完成予定が明記されていないのが惜しいが、我田引水論はこうしたコラムには付きもの。「安全で快適な市民生活を支え、都市の可能性を広げる道路網の構築を推進」するという意思表明に拍手を送りたい
▼8月号は「スピード重視の物価高騰対策」だった。物価高騰の中で「タイムリーな支援」を実施しているとの意気込みはタイトルの示す通り。高騰がなお続いているのも認識の通りだが、電力に続き三重交通も料金値上げに踏み切った。重視していると強調したエネルギー対策が次々、底が抜けていく
▼三重交通が燃料高騰と並んで理由としたのはコロナ禍での乗客の減少で「今後も続くと想定している」。前葉市長は「道路が描く都市の未来図」の中で、道路の未来図は語るが、都市の未来図は語らない。また別の機会にということだろう。鉄道は都市分断の一因にあげられ、リニア駅へのような接続の視野もない
▼道路の「環状放射型ネットワーク」構築もいいが、公共交通機関とのネットワークの視野も常に忘れてはなるまい。