2022年10月24日(月)

▼県のHPは不思議な運用で、県職員の不祥事など都合の悪いことは瞬く間に消える半面、「首都機能移転、三重・畿央地域から、新都発信」などは今も残る。発信日付がないのが一般的だが、内容的には平成14年ごろのものらしい

▼「東京一極集中の是正」として、いま「中央集権型」から「分散型」へが「時代の要請」で、「『三重・畿央新都』が大きく動き出した」とある。移転事務局のあった国土交通省出身の一見勝之知事もむろん詳しかろう。「東西の結節点」が売り文句だった

▼遷都論は戦前から幾度かあったが、この時の火付け役は本紙政経懇話会で講師をされた当時通産官僚の八幡和郎・徳島文理大教授で、よく来県された。『東京集中が日本を滅ぼす』(講談社、昭和62年)『遷都:夢から政策課題へ』(中央公論社、同63年)などの主張が全国に広がり、実現間近を思わせた

▼当初乗り気に見えなかった北川正恭知事(当時)も旗振りの先頭に立ち、東京・地下鉄の電車を「三重・畿央地域へ」のラップでくるんで話題になった。方針転換かと聞いたことがある。古い組織は一度揺さぶってみると、長所も短所も分かる。移転は絶好、と言っていた

▼本紙の八幡教授紹介に首都移転の痕跡はなく、教授の演題も「ポスト安倍時代における政治と宗教を考える」なのは少し寂しい気もするが時世時節だろう。小林貴虎県議に住所をネットで無断公開された同性カップルが、議会の辞職勧告決議案否決に絡み、反対した23県議に公開質問状を送るという

▼人権を考える機会が続くのはいいことだ。