2022年9月1日(木)

▼肝心な時だというのに、何とも頼りにならない。施設で急増しているクラスター(感染者集団)に認定する基準―すなわち、新型コロナウイルス感染の緊急事態として対策に乗り出す基準を、県はこれまでの「感染者5人以上」を「10人以上」に改める。重症者が少なくなったからではない。保健所の負担を軽くするためである

▼感染経路を特定する調査も、保健所の負担が大きく「取りやめざるを得ない」と県の患者情報プロジェクトチーム。その上で「今後は施設での感染拡大を防ぐための指導に重点化する」。何だかおちょくられている気がしないか

▼「全数把握見直し」も、国の定めた見直しの期限までに届け出ずに29日、是非を検討するとして近く医師会や保健所などと協議する方針だと発表した翌30日、一見勝之知事が見直す方向で9月2日に国に届け出る―。この場合、おちょくられているのは医師会などか。方針にシャンシャンと手拍子を打つため、招集される形になる

▼コロナ感染の全数把握は「流行状況の把握」「感染者の管理」が役割。定点観測では機能が大幅に低下すると言われるが、第6、7波と気づくのに後手を踏んだ県だ。全数把握しなくても変わらぬということかもしれない

▼継続を決めた大村秀章愛知県知事は「感染者への連絡は維持したい」。対して一見知事は全数把握を見直しても「影響が出ない方法を検討している」

▼見直しありきで、県が療養証明書を出せなくなれば、しわ寄せが診療所などに行くが、それをどう防ぐかだという。感染者第一かどうかが違いと言えようか。