▼伊勢市の高校生議会が3年ぶりに市議会本会議場で開かれ、観光政策や、昨今気がかりな災害対策などを議員役の高校生が質問し、職員役の市議が答えた。変わり種は、夜間定時制高校生が授業後のバス運行を求め「駅までの夜道は暗く、歩くのは怖い」と切実な訴えをした
▼答弁はどうだったか。記事にないが、明快に答えられる内容でないことは確かだ。定時制高校1校の通学問題として答えるか、観光政策や夜間の振興策などと合わせて総合的市政、交通網の今後の課題として考えるかでも、回答は違ってくる。若者に政治や議会への関心を高めてもらうことを目的に開く高校生議会。何らかの形に結びつけて、その趣旨を生かしてもらいたい
▼県議会も22日に4年ぶりの高校生議会を開く。その趣旨が伊勢市議会と最も違うのは、市議会が開催目的に「主権者教育」を入れていることだろう。市町も各教育委員会も、議会からのさまざまな意見がくることを警戒してか恐れてか、選挙や議会の仕組みを当たり障りなく紹介する以上の主権者教育はできていそうにない
▼県議会も高校への出前講座で講師役の県議が自身の政治的立場を色濃く講義し「議会を代表していない」として陳謝に追い込まれた。先の参院選は過去3番目に低い投票率だったが、一見勝之知事は「全国や前回選より上回っているという見方もある」
▼全国平均と比べ18、19歳の投票率は低く、その差は拡大している。県は数字を出していないが、例外ではあるまい。制約なく、自由に主権者教育ができるのは唯一、市町議会かもしれない。