▼新型コロナウイルス感染者の症状や接触者調査の状況を、県は28日から資料に記載しないという
▼感染者の急増で保健所の調査が間に合わなくなったためだが、前日の知事定例会見では何の予兆もなかった。県民の不安が広がる中で、情報提供の質を落とさざるを得ないことを自ら説明するのを避けたか、前日には予想できなかったほど感染が急だったか
▼県の患者情報プロジェクトチームの言い方がまたおもしろい。予想以上の感染者増で「保健所の作業が限界に近い」としながらも「このままでは公表した感染者数と実態がかい離すると考え、公表の方法を変えることにした」。県民のために変えてやるんだみたいな鼻息だ
▼役人特有の物言いだが、とりわけ旧軍人、参謀らの言い分は現代官僚も舌を巻くと評論家の保阪正康さんが言っていた。片りんは、全滅を宝石が砕け散ることに見立てた「玉砕」、退却・撤退を「転進」に言い換えたのが有名。「公表方法を変える」はまさに転進になぞらえられようか
▼首都圏営業拠点「三重テラス」の入館者数が減少した時、別の指標にしようとした手口。コロナ禍で、新規感染者数に代わり病床使用率を指標にしたのも。大本営が退却を転進、全滅を玉砕にしたのは国民の戦意喪失を恐れたからだが、真相は、退却や全滅では指揮した自分らの責任が問われかねないと判断したからと言われる
▼悪名高いバンザイ突撃は無策による全滅ではなく、積極的攻撃で玉のように美しく散った。作戦目的が達成したので転進するというわけだ。国民に目くらましをかけたのである。