2022年7月13日(水)

▼「全国各地で横領事件が後を絶たない」と本紙『まる見えリポート』が南伊勢町の巨額横領事件を改めて検証している。全国を引くまでもなく、県内でも相次ぐ。目まぐるしい世の中で、1億5500万円以上というとてつもない巨額の横領事件も、うっかりすると忘れそうになる

▼町は「最低限の確認があれば防げた事案」としている。病院事務長は「財務諸表と預金残高の最後の数字が合っていたので見逃した。正しいという思い込みが強かった」と何年もの間、最低限の確認にもならぬことを続けてきたことを認めている。月1回の出納検査をしていた監査委員ともども肩書が泣く

▼横領事件が発覚して、そろそろ一カ月。本人を懲戒免職処分にした以外、1人の処分者も出していない。内部調査を進めているかどうかも明確ではないが、外部監査委員を発足させるため条例案作成に取りかかっているという。兵は拙速を尊ぶという。ずいぶんのんきな気がするが、内部で調べようにも会計システムに精通している人材も「ただいま育成中」で目下、いないのかもしれない

▼計約640万円の被害額を弁済。残り約1億5千万円は「一生をかけて返済する」と話しているという。町とはいえ、さすがにその言葉を信じるお人よしはいまい

▼使途は「推しのアイドルのグッズ購入やネットゲームへの課金」。いずれも不案内な分野だが、インベーダーゲームなどゲーム類にははまったことがある。WHO(世界保健機関)はネットゲームへの依存を「ゲーム障害」として依存症に加えている。病気だったのかもしれない。