2017年9月15日(金)

▼県と三重大が設置した防災拠点「みえ防災・減災センター」について「地域や企業が一体となって防災意識を高めるのが大事だと思った」と小此木八郎国土強靱化担当相。鈴木英敬知事の防災に対する「積極的な姿勢を感じ」て来県し、同センターの仕組みを全国に広める意欲を示した。大いに面目を施した知事だが、写真の表情がいつになく厳しく感じたのは気のせいか

▼県の短文投稿サイト「ツイッター」で発信するアカウント「防災みえ」の気象情報がこの日午前1時ごろ、配信できなくなった。情報提供先の日本気象協会のシステム障害のためで、復旧は正午直前。情報の価値がより高くなる真夜中を含む十時間以上、防災対策の出発点になる情報が不通だったのだ。説明した防災対策が絵に描いた餅になりかねない。知事の表情が険しくなっても不思議はない

▼台風18号の進路予想圏内に入るという危機が現実になる中で起きたことが不気味である。これまでも肝心の時に情報伝達の手違いが指摘されてきた。災害情報の要としているNTTドコモのエリアメールも、先に基地局の不具合で北朝鮮の弾道ミサイル発射を伝えるJアラート(全国瞬時警報システム)が送信できなかった

▼直後四日市市がJアラートを誤送信し、防災ラジオから「ミサイル着弾可能性」の避難情報を流した。緊急時に大丈夫か。情報伝達障害を想定していないのは県の防災計画の盲点であろう

▼「避難率の低さ」が東日本大震災翌年からの県の課題だが、情報の信頼、解釈に原因があるといわれる。厳しい表情は、そのためでもあるか。