▼これも、発想の転換ということか。飲食店の営業時間短縮は新型コロナウイルスの拡大阻止のためと思っていたが、まん延防止等重点措置の発令で時短要請されて1週間、むしろ増加のいきおいだが、一見勝之三重県知事は「時短営業のおかげもあって感染者はこの数字でとどまっている」
▼連日600人を超える状況で、時短は拡大阻止に効果がなかったか、いや、知事の言う通り、こんなものでは済まないことになっていたか。どちらか検証できないのは、知事の見解に素直にうなずく上で遺憾である
▼時短営業が感染防止に効果があるかどうかは各論がある。鈴木英敬前知事は時短要請に踏み切る直前まで、飲食店の営業が感染拡大につながっている事実はないと言い張っていた。第六波では当初は忘年会、新年会などの宴会が指摘されたが、その後「若い人から高齢者に拡大している」(一見知事)とされ「家庭や保育園、高齢者施設などで感染者が増えている」
▼県は31日からこれまで除外していた南部5市町の飲食店でも営業時間短縮を要請する。他の24市町と比べ、わずか10日間で方針変更を余儀なくされた。人口10万人当たり新規感染者が基準を超えたことが理由だが、超えていない熊野市も「生活圏が一体」だからと対象に入れた
▼時短要請に伴う協力金の一部を先行して支給することも発表した。これも、県担当課は「今回は難しい」と説明していたのを「スケジュールを再検討した結果、先行支給は可能と判断した」。朝令暮改続きだが、未知のウイルスを相手にしているなかで、むしろ当然ではある。